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薬機法違反にならない広告とは?初心者向けチェックリスト付き解説

マーケティング手法

  • 2025年6月11日
  • 2025年6月11日

薬機法に違反した広告は業務停止命令や刑事罰の対象となるため、広告制作者にとって正しい知識は必須です。

本記事では、薬機法で規制される広告表現の具体例や適合する表現方法、美容・健康食品・サプリメント広告での違反パターンを詳しく解説します。

また、実務で使えるチェックリストも掲載しているため、広告制作時の薬機法違反リスクを大幅に軽減できます。

ぜひ今回の記事を参考に広告配信における「薬機法」について理解を深めていただければと思います。

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薬機法とは?広告に関わる基本のポイント

薬機法は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の略称で、以前は薬事法と呼ばれていました。2014年11月に改正され、現在の名称になっています。

この法律は、医薬品や医療機器、化粧品などの製造・販売・広告に関する規制を定めており、特に広告分野では消費者を誤解させる表現や誇大な効果を謳う表現を厳しく禁止しています。

薬機法が規制する商品・サービス

薬機法の規制対象となる主な商品・サービスは以下の通りです。

 

分類具体例広告規制の特徴
医薬品風邪薬、胃腸薬、湿布薬など効能・効果の表現が最も厳格
医薬部外品薬用化粧品、育毛剤、入浴剤など承認された効能・効果のみ表現可能
化粧品スキンケア用品、メイクアップ用品など56の効能効果の範囲内での表現のみ可能
医療機器コンタクトレンズ、マッサージ器など承認・認証された用途のみ表現可能

薬機法における広告の3つの要件

薬機法では、広告として規制される表現には以下の3つの要件があります。これらの要件をすべて満たす場合、薬機法の規制対象となります。

顧客を誘引する意図があること

商品やサービスの購入を促進する目的で作成された表現が該当します。直接的な販売促進だけでなく、ブランドイメージの向上や認知度向上を目的とした表現も含まれます。

特定の商品名・サービス名が明らかにされていること

具体的な商品名やサービス名、ブランド名が明示されている、または容易に特定できる状態にあることが要件となります。商品パッケージの画像や企業ロゴの掲載も該当します。

一般人が認知できる状態にあること

インターネット、テレビ、雑誌、チラシなど、不特定多数の人が目にする可能性のある媒体で発信された表現が対象となります。社内資料や限定的な配布物は原則として対象外です。

広告規制の基本原則

薬機法における広告規制は、以下の基本原則に基づいて運用されています。

虚偽・誇大広告の禁止

実際の効果を超えた表現や、科学的根拠のない効果効能を謳うことは一切禁止されています。

「絶対に効く」「100%改善」といった断定的な表現も虚偽・誇大広告に該当する可能性があります。

未承認医薬品等の広告禁止

承認・認証・届出がされていない医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の広告は一切禁止されています。

個人輸入代行業者による海外製品の広告も含まれます。

適正な表現の使用義務

承認・認証された効能効果の範囲内での表現使用が義務付けられています。

化粧品であれば56の効能効果、医薬部外品であれば承認された効能効果の範囲内でのみ表現が可能です。

薬機法違反の判断基準

薬機法違反の判断は、表現の文脈や全体的な印象を総合的に評価して行われます。単純な文字列の一致だけでなく、以下の要素が考慮されます。

  • 表現の前後の文脈
  • 使用されている画像や動画との組み合わせ
  • 消費者が受ける印象の程度
  • 科学的根拠の有無
  • 表現の明示・暗示の程度

このため、直接的な効果効能を謳わない場合でも、暗示的な表現や印象操作によって薬機法違反と判断される場合があります。広告制作時には、消費者の立場に立って表現を検証することが重要です。

薬機法の規制対象になる広告媒体とは?Web・LP・SNSも含まれる?

薬機法における広告規制は、媒体の種類を問わず幅広く適用されます。

従来の新聞・雑誌・テレビ・ラジオといった伝統的なメディアはもちろん、現在主流となっているデジタル媒体も規制の対象です。

薬機法が適用される広告媒体の範囲

薬機法第66条から第68条の広告規制は、媒体の形式や配信方法に関係なく適用されます。広告の定義は「顧客を誘引する意図が明確であり、特定の商品名や効能効果が表示され、一般人が認知できるもの」とされており、この条件を満たせばすべての媒体が規制対象となります。

 

媒体カテゴリ具体例規制適用
従来メディア新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、屋外広告適用
デジタル媒体Webサイト、LP、バナー広告、動画広告適用
SNS・プラットフォームFacebook、Instagram、Twitter、YouTube、TikTok適用
その他デジタルメール広告、アプリ内広告、デジタルサイネージ適用

WebサイトとLP(ランディングページ)での注意点

企業の公式Webサイトやランディングページは、薬機法の規制対象となる代表的な媒体です。特にECサイトの商品ページや専用のランディングページでは、商品の効能効果を詳しく説明する傾向があるため、薬機法違反のリスクが高くなります。

WebサイトやLPでは、商品説明において効能効果の標榜、体験談の記載方法、Before・Afterの画像使用などが特に問題となりやすい部分です。また、SEO対策として検索キーワードを意識したコンテンツ作成を行う際も、薬機法に抵触しない表現を心がける必要があります。

SNS広告における薬機法の適用

FacebookやInstagram、Twitter、YouTube、TikTokなどの各種SNSプラットフォームでの広告投稿も薬機法の規制対象です。SNS広告の特徴として、インフルエンサーマーケティングや口コミ風の投稿が多用される傾向がありますが、これらも広告として扱われる場合があります。

特にインフルエンサーが商品を紹介する際は、企業から報酬を受け取っている場合や商品提供を受けている場合、薬機法上の広告とみなされる可能性が高いため注意が必要です。フォロワー数の多いアカウントでの投稿ほど影響力が大きく、規制当局からの監視も厳しくなります。

メール配信とアプリ内広告の取り扱い

メールマガジンやアプリ内での広告表示も薬機法の適用範囲に含まれます。メール配信では、件名や本文内での効能効果の表現に注意が必要で、特に化粧品や健康食品の定期購入を促すメール内容では薬機法違反が発生しやすい状況です。

スマートフォンアプリ内でのバナー広告や動画広告、ポップアップ広告なども同様に規制対象となります。アプリの利用者属性に合わせたターゲティング広告であっても、薬機法の基準を満たす必要があります。

動画コンテンツでの薬機法適用

YouTubeをはじめとする動画プラットフォームでの商品紹介動画も薬機法の規制を受けます。動画広告では音声とテキスト、映像すべてが規制対象となるため、ナレーション、テロップ、商品の使用シーンすべてにおいて適切な表現を使用する必要があります。

動画コンテンツでは視聴者への印象が強く、効能効果を暗示する演出や誇大な表現が使われやすいため、企画段階から薬機法への配慮が重要です。また、動画の概要欄やコメント欄での表現も広告の一部として扱われる場合があります。

アフィリエイト広告での責任範囲

アフィリエイト広告やASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)を通じた広告配信においても、薬機法の適用があります。広告主である企業は、アフィリエイターが作成する広告コンテンツについても責任を負う必要があります。

アフィリエイト広告では、個人ブログやレビューサイトでの商品紹介が多く行われますが、これらのコンテンツが薬機法に違反した場合、広告主に対して行政処分が下される可能性があります。そのため、アフィリエイターへの教育や広告素材の管理が重要な要素となります。

広告で使ってはいけない表現一覧(NGワード・誇大表現など)

薬機法における広告規制では、医薬品医療機器等法(薬機法)第66条から第68条によって、虚偽または誇大な広告が禁止されています。化粧品、健康食品、医療機器などの広告において、消費者に誤解を与える表現や効果効能を示す表現は厳格に規制されています。

医薬品的効能効果を示すNGワード

化粧品や健康食品の広告で最も注意すべきなのが、医薬品的効能効果を暗示する表現です。これらの表現は薬機法違反となる可能性が高く、絶対に使用してはいけません。

 

分類NGワード例理由
疾病治療治る、治療、改善、回復、解消医薬品でない商品が治療効果を謳うことは禁止
予防効果予防、防ぐ、抑制、阻止疾病予防は医薬品の効能効果に該当
診断関連診断、検査、測定、判定医療行為に関連する表現は使用不可
身体機能向上血行促進、新陳代謝向上、免疫力アップ身体機能への直接的な作用を示す表現

身体の変化を断定するNG表現

化粧品や健康食品の広告では、使用者の身体に確実な変化が起こることを断定する表現も禁止されています。個人差があることを無視した断定的な表現は薬機法違反のリスクが高まります。

体重・体型に関するNG表現

  • 「確実に痩せる」「必ず○kg減量」
  • 「飲むだけで脂肪燃焼」「食べても太らない」
  • 「リバウンドしない」「体重が戻らない」
  • 「部分痩せ効果」「狙った部位の脂肪を落とす」

美容効果に関するNG表現

  • 「シワが消える」「完全にシミが取れる」
  • 「肌が生まれ変わる」「若返り効果」
  • 「毛穴が完全になくなる」「ニキビが治る」
  • 「白髪が黒くなる」「発毛・育毛効果」

最上級表現・比較表現のNG例

景品表示法とも関連しますが、薬機法においても根拠のない最上級表現や比較表現は問題となります。

特に効果効能に関連する最上級表現は注意が必要です。

 

表現タイプNG例問題点
最上級最高の効果、業界No.1、世界初客観的根拠が示せない場合が多い
絶対表現絶対効果、100%、完全、確実個人差を無視した断定的表現
即効性即効、瞬時に、すぐに実感化粧品や健康食品の即効性を誇大表現
永続性永久、一生涯、二度と戻らない効果の持続性を過大に表現

医師・専門家の推奨を装うNG表現

医師や専門家の権威性を利用した表現も薬機法違反となる可能性があります。特に効果効能に関連して医師の推奨を示唆する表現は厳格に規制されています。

医師関連のNG表現

  • 「医師も驚く効果」「ドクター推奨」
  • 「医師の○○%が推奨」「病院でも使用」
  • 「医学的に証明済み」「臨床試験で実証」
  • 「薬剤師おすすめ」「看護師愛用」

専門機関を装うNG表現

  • 「厚生労働省認定」(認定制度がない場合)
  • 「FDA承認」(日本で販売する商品での誤用)
  • 「大学との共同開発」(事実でない場合)
  • 「研究機関で実証」(具体的根拠がない場合)

体験談・口コミでのNG表現

体験談や口コミにおいても、薬機法の規制対象となる表現があります。

実際の使用者の声であっても、効果効能を示す内容は広告とみなされる場合があります。

 

体験談の内容NG表現例適切な表現への修正例
ダイエット効果「3ヶ月で15kg痩せました」「使用感に満足しています」
美容効果「シミが完全に消えた」「お肌の調子が良くなった気がします」
健康効果「血圧が正常値になった」「毎日元気に過ごせています」
症状改善「腰痛が治った」「日々の生活が楽になりました」

数値・データを使ったNG表現

数値やデータを使った表現は客観性があるように見えますが、薬機法では根拠のない数値表現や誤解を招く統計の使用も規制されています。

効果を示す数値表現のNG例

  • 「満足度98%」(効果効能に関する満足度の場合)
  • 「リピート率90%」(効果を暗示する文脈での使用)
  • 「○日で効果実感」(具体的な効果発現時期の断定)
  • 「成分濃度○倍」(効果の高さを暗示する表現)

薬用化粧品・特定保健用食品での注意点

薬用化粧品(医薬部外品)や特定保健用食品であっても、承認された効能効果を超える表現は薬機法違反となります。

認可された範囲内での表現に留めることが重要です。

薬用化粧品でのNG表現

  • 「シワを消す」(承認効能を超える表現)
  • 「美白効果でシミが取れる」(美白の定義を超える表現)
  • 「ニキビが完治する」(治療効果を示す表現)
  • 「アンチエイジング効果」(老化防止を示す表現)

特定保健用食品でのNG表現

  • 「病気が治る」(治療効果の表現)
  • 「薬と同じ効果」(医薬品との同等性を示す表現)
  • 「副作用がない」(安全性の過度な強調)
  • 承認表示を超える効果の表現

これらのNG表現を避けることで、薬機法に適合した適切な広告表現が可能になります。

常に消費者目線で誤解を与えない表現を心がけ、根拠のない効果効能を示唆する表現は使用しないことが重要です。

薬機法に適合したOKな表現例とその考え方

薬機法に適合した広告表現を作成するためには、規制の境界線を理解し、適切な表現方法を身につけることが重要です。

ここでは、実際に使える表現例とその考え方を詳しく解説します。

化粧品で使える表現例

化粧品の広告では、薬機法第2条第3項で定められた効能効果の範囲内で表現する必要があります。以下の表現は適切に使用できます。

 

分類OK表現例表現のポイント
基本的な効果肌を清潔にする、肌を整える、肌にうるおいを与える化粧品の基本的な機能を表現
スキンケア乾燥による小じわを目立たなくする、肌荒れを防ぐ効能効果の範囲内で具体的に表現
日焼け止め紫外線から肌を守る、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ紫外線防御効果を適切に表現

化粧品表現の考え方

化粧品の表現では、56の効能効果の範囲内で表現することが基本原則となります。「美白」という表現は、メラニンの生成を抑制してシミやそばかすを防ぐ効果を示す場合にのみ使用可能です。また、「アンチエイジング」のような表現は薬機法上認められていないため、「年齢に応じたケア」「エイジングケア」といった表現に置き換える必要があります。

健康食品・サプリメントで使える表現例

健康食品やサプリメントは、医薬品ではないため治療効果や予防効果を示す表現は使用できません。以下の表現は適切に使用できます。

 

分類OK表現例注意点
栄養成分ビタミンCを含有、食物繊維が豊富含有量を明確に表示
体調維持健康維持をサポート、バランスの良い食生活に直接的な効果を示さない
生活習慣忙しい毎日の栄養補給に、食事では摂りにくい成分を補完的な役割を強調

健康食品表現の考え方

健康食品の表現では、医薬品的な効能効果を示唆しないことが最も重要です。「治る」「効く」「予防する」といった表現は一切使用できません。代わりに、「サポート」「維持」「補給」といった間接的な表現を使用します。また、体の特定部位への効果を示す表現も避ける必要があります。

機能性表示食品で使える表現例

機能性表示食品は、届出を行った機能性について表示することができます。ただし、届出内容に沿った表現でなければなりません。

 

機能性の分類OK表現例必要な表示
記憶力記憶力の維持をサポートする機能があります届出番号、機能性表示食品マーク
血圧血圧が高めの方の血圧を下げる機能があります届出内容と完全に一致した表現
睡眠睡眠の質の向上に役立つ機能があります注意喚起表示の併記

機能性表示食品表現の考え方

機能性表示食品では、届出を行った機能性のみを表示でき、それ以外の効果は表現できません。表現は届出内容と完全に一致させる必要があり、少しでも異なる表現は認められません。また、「機能性表示食品」の表示と届出番号の記載が必須となります。

比較表現で使える適切な表現例

比較表現は特に注意が必要な分野ですが、適切に使用すれば問題ありません。

 

比較の種類OK表現例根拠の必要性
自社製品同士従来品と比較して使用感が向上客観的な比較データが必要
一般的な製品一般的な製品と比べて成分を多く配合業界標準との比較根拠が必要
使用前後使用前後の変化(個人の感想です)個人差がある旨の表示が必要

比較表現の考え方

比較表現では、比較対象を明確にし、客観的な根拠を示すことが重要です。「業界初」「世界初」といった表現を使用する場合は、その根拠となる調査データや特許情報などを明確に示す必要があります。また、個人の感想を使用する場合は、必ず「個人の感想であり効果には個人差があります」といった注意書きを併記します。

体験談・お客様の声で使える表現例

体験談やお客様の声は、適切に使用すれば有効な表現手法となります。

体験談では医薬品的な効果を示唆する内容は使用できません。「病気が治った」「症状が改善した」といった表現は避け、「使用感が良い」「満足している」といった主観的な感想に留める必要があります。また、すべての体験談には「個人の感想であり効果には個人差があります」という注意書きを明記します。

さらに、体験談が事実に基づいていることを証明できる資料を保管し、虚偽の内容や誇張された内容は使用しないことが重要です。写真を使用する場合も、修正や加工は最小限に留め、実際の変化を正確に表現する必要があります。

表現作成時の基本的な考え方

薬機法に適合した表現を作成する際は、以下の基本的な考え方を理解しておくことが重要です。

まず、消費者に誤解を与えない正確な情報提供を心がけることが基本となります。過度な期待を抱かせる表現や、科学的根拠に乏しい表現は避ける必要があります。また、製品の特性や限界を正確に伝え、適切な使用方法を明示することも重要です。

次に、法的な規制の範囲内で、消費者にとって分かりやすく魅力的な表現を工夫することが求められます。制約の中でも、製品の良さを適切に伝える表現方法を見つけることが、優れた広告表現の作成につながります。

薬機法と景表法・健康増進法との違いを理解しよう

薬機法に関連する法律として、景品表示法(景表法)と健康増進法があります。これらの法律は相互に関連しており、広告制作時には薬機法と合わせて理解することが重要です。各法律の目的や規制内容を正確に把握することで、適切な広告表現を実現できます。

薬機法・景表法・健康増進法の基本的な違い

薬機法は医薬品や医療機器、化粧品の品質・有効性・安全性を保証する法律であり、これらの商品における虚偽・誇大な広告表現を禁止しています。一方、景表法は商品やサービス全般の表示に関する法律で、不当な表示による消費者の誤認を防ぐことを目的としています。健康増進法は国民の健康づくりを推進する法律であり、食品の健康保持増進効果等に関する虚偽・誇大表示を禁止しています。

 

法律名正式名称主な目的規制対象
薬機法医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律医薬品等の品質・有効性・安全性の確保医薬品・医療機器・化粧品・医薬部外品の広告
景表法不当景品類及び不当表示防止法消費者の適正な商品選択の確保商品・サービス全般の表示
健康増進法健康増進法国民の健康づくりの推進食品の健康保持増進効果等の表示

景表法による規制の特徴

景表法では、優良誤認表示と有利誤認表示が主な規制対象となります。優良誤認表示とは、商品の品質や規格、効果などについて実際よりも著しく優良であると誤認させる表示のことです。有利誤認表示は、価格や取引条件について実際よりも著しく有利であると誤認させる表示を指します。

具体的には、「業界No.1」「最高品質」などの根拠のない最上級表現や、「通常価格○○円が今だけ△△円」といった二重価格表示で虚偽の割引率を示すことが該当します。これらの表現は薬機法の対象商品でなくても規制対象となるため、注意が必要です。

健康増進法による食品広告の規制

健康増進法では、食品として販売される商品の健康保持増進効果等の表示について規制しています。この法律は一般食品やいわゆる健康食品に適用され、疾病の治療や予防効果を暗示する表現を禁止しています。

例えば、「血圧を下げる」「糖尿病に効く」「がんを予防する」といった医学的効果を直接的に表現することは禁止されています。また、「体質改善」「免疫力向上」などの身体機能への影響を示唆する表現も注意が必要です。

健康増進法の適用範囲

健康増進法は医薬品や医薬部外品以外の食品に適用されます。サプリメント、健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品なども対象となります。ただし、特定保健用食品や機能性表示食品については、届出や許可の範囲内での表現は認められています。

法律間の関係性と重複規制

これらの法律は独立して存在するものではなく、一つの広告表現が複数の法律に抵触する可能性があります。例えば、化粧品の広告で医薬品的効果を謳った場合、薬機法違反となると同時に、根拠のない効果を表示すれば景表法の優良誤認表示にも該当します。

また、健康食品の広告において疾病治療効果を暗示する表現を使用した場合、健康増進法違反となり、さらに実際の効果を上回る表現であれば景表法違反にもなります。このような重複規制を避けるためには、各法律の要件を総合的に判断する必要があります。

実務での注意点と対策

広告制作時には、商品の分類を正確に把握し、適用される法律を特定することが第一歩です。医薬品や化粧品については薬機法、一般食品については健康増進法、そしてすべての商品について景表法が適用されると考えておくことが安全です。

表現の根拠となる資料やデータを事前に準備し、客観的な事実に基づいた広告表現を心がけることが重要です。また、業界団体のガイドラインや行政機関の指針を参考にして、最新の規制動向を把握することも欠かせません。

チェック体制の構築

効果的な法令遵守体制を構築するには、各法律の専門知識を持つ担当者による多角的なチェックが必要です。薬機法、景表法、健康増進法それぞれの観点から広告表現を審査し、問題となる可能性のある表現を事前に発見・修正する仕組みを整えることが大切です。

また、外部の専門家や弁護士への相談体制を整備し、判断が困難な表現については専門的な意見を求めることも有効な対策となります。

薬機法に違反するとどうなる?

薬機法に違反した場合の処罰は、違反内容や程度によって異なりますが、非常に重い責任を負うことになります。企業の信頼失墜や事業継続への大きな影響を与える可能性があるため、違反リスクを正しく理解することが重要です。

行政処分の種類と内容

薬機法違反に対する行政処分は段階的に実施されます。軽微な違反から重大な違反まで、違反の程度に応じて以下のような処分が下されます。

 

処分の種類対象となる違反処分内容
指導軽微な広告違反口頭または文書による改善指導
改善命令誇大広告・虚偽広告広告内容の修正・削除命令
業務停止命令重大または反復的な違反一定期間の業務停止(最大3年間)
許可取消極めて悪質な違反製造販売業許可等の取消

刑事罰の内容

薬機法違反は刑事罰の対象となり、法人だけでなく個人も処罰されます。広告違反の場合、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科が科せられる可能性があります。

さらに重大な違反の場合、以下のような厳しい刑事罰が適用されます。

  • 無許可製造販売:3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金
  • 承認義務違反:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
  • 両罰規定により法人にも1億円以下の罰金

社会的制裁と企業への影響

薬機法違反が発覚すると、法的処罰以外にも深刻な社会的制裁を受けることになります。メディアによる報道や消費者からの信頼失墜により、企業の社会的地位は大きく損なわれます。

企業イメージへの長期的ダメージ

薬機法違反のニュースはインターネット上に長期間残り続けるため、企業ブランドへの悪影響は数年間続くことが一般的です。特に健康関連商品を扱う企業の場合、消費者の信頼回復には相当な時間と労力が必要となります。

取引先や販売チャネルへの影響

薬機法違反により、既存の取引先から契約解除される可能性があります。また、新規取引先の開拓も困難になり、販売チャネルの確保に大きな支障をきたします。ECモールからの出店停止や広告配信停止などの措置も受ける場合があります。

損害賠償責任のリスク

薬機法違反により消費者に健康被害が生じた場合、製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。医療費や慰謝料だけでなく、集団訴訟に発展するケースもあり、賠償額は数億円規模に達することもあります。

実際の処分事例と傾向

近年の薬機法違反事例を見ると、インターネット広告やSNS投稿における違反が急増しています。健康食品やサプリメントの広告で「痩せる」「病気が治る」といった医薬品的効果を標榜した事例では、業務停止命令と同時に刑事告発されるケースも珍しくありません

特に最近では、インフルエンサーマーケティングや口コミサイトでの違反事例も摘発されており、企業は従来の広告媒体だけでなく、あらゆる情報発信チャネルでの法令遵守が求められています。

違反発覚から処分までの流れ

薬機法違反が発覚してから実際の処分が下されるまでには、以下のような段階があります。

  1. 監視機関による違反の発見・通報
  2. 所管官庁による調査開始
  3. 事業者への事情聴取・資料提出要求
  4. 違反事実の確定と処分内容の決定
  5. 行政処分の執行・公表

この過程で企業は弁護士費用や調査対応費用などの間接的なコストも負担することになり、経営への影響はさらに拡大します。

【要注意】美容・健康食品・サプリ広告での薬機法違反パターン

美容・健康食品・サプリメント分野は薬機法違反が特に多く発生する分野です。商品の特性上、効果や効能を強調したい気持ちが働きやすく、つい医薬品的な表現を使ってしまうケースが後を絶ちません。

美容商品での薬機法違反パターン

美容商品の広告では、肌の状態改善や老化防止など、医薬品や医薬部外品でなければ表現できない効果をうたってしまうことが多く見られます。

化粧品で多い違反表現

違反表現例問題点適切な表現例
「シミが消える」「シワが治る」治療効果をうたっている「シミの目立たない肌に」「ハリのある肌へ導く」
「アンチエイジング効果」老化防止を明言している「年齢に応じたケア」
「ニキビが治る」「肌荒れが改善」医薬品的効能を表現「ニキビのできにくい肌へ」
「毛穴がなくなる」身体の構造変化を示唆「毛穴の目立ちにくい肌に」

ダイエット関連商品での違反事例

ダイエット関連の美容商品では、体重減少や体型変化に関する断定的な表現が問題となります。

  • 「痩せる」「脂肪燃焼」といった断定的な効果表現
  • 「○○kg減量保証」などの結果を約束する表現
  • 医学的根拠のない「代謝アップ」「脂肪分解」の表現

健康食品・サプリメントでの薬機法違反パターン

健康食品やサプリメントは「食品」であり、医薬品のような効果効能を表現することは一切認められていません。しかし、消費者の健康志向の高まりから、ついつい医薬品的な表現を使ってしまう事例が多発しています。

疾病の治療・予防に関する表現

最も重大な違反パターンは、疾病の治療や予防効果をうたうことです。これらの表現は医薬品にのみ認められており、健康食品では絶対に使用できません。

違反表現の分類具体的な違反表現例
病気の治療「糖尿病が治る」「高血圧を改善」「がんに効く」
病気の予防「風邪を予防」「生活習慣病を防ぐ」「認知症予防」
身体機能の改善「血糖値を下げる」「コレステロールを減らす」
診断・検査関連「健康診断の数値が改善」「検査結果が良くなる」

身体の組織・機能に関する表現違反

人体の組織や器官、生理機能に対する直接的な影響を示す表現も薬機法違反となります。

  • 内臓機能への影響「肝機能向上」「腎臓をきれいに」
  • 血液・血管系への作用「血液サラサラ」「血管を強化」
  • ホルモンバランスへの影響「女性ホルモンを整える」
  • 免疫系への効果「免疫力アップ」「抵抗力を高める」

体感・症状の改善に関する違反表現

体の不調や症状の改善を直接的に表現することも薬機法違反です。

症状分類違反表現例問題となる理由
疲労・倦怠感「疲れが取れる」「だるさを解消」症状の改善を直接表現
睡眠関連「不眠症が治る」「よく眠れる」睡眠障害の治療効果を示唆
精神的症状「ストレス解消」「うつ病改善」精神的疾患への効果を標榜
痛み・炎症「関節痛が楽になる」「炎症を抑える」医薬品的な作用機序を表現

広告媒体別の注意点

薬機法違反は使用する広告媒体によっても異なる傾向があります。各媒体の特性を理解した上で、適切な表現を心がける必要があります。

SNS広告での違反パターン

SNS広告では、インフルエンサーによる体験談や口コミ風の投稿が多く見られますが、これらも薬機法の規制対象です。

  • インフルエンサーの体験談で「○○が治った」という表現
  • ハッシュタグを使った効果効能の暗示「#痩せた #肌荒れ改善」
  • ビフォーアフター写真での劇的な変化の強調

ランディングページでの違反事例

ランディングページでは、購買意欲を高めるために過度な表現を使用してしまうケースが多く見られます。

  • 医師や専門家の推薦コメントで効果効能を暗示
  • 科学的データを悪用した効果の根拠づけ
  • お客様の声で具体的な症状改善を表現

違反を避けるための実践的対策

薬機法違反を防ぐためには、広告制作の段階から適切な表現を意識することが重要です。

表現チェックの基本ルール

広告文を作成する際は、以下の基本ルールを必ず確認しましょう。

  1. 医薬品的な効果効能を連想させる表現は一切使用しない
  2. 身体の構造や機能に直接的な影響を与える表現を避ける
  3. 疾病名や症状名を具体的に挙げない
  4. 「治る」「改善」「効く」などの断定的表現を使わない

安全な表現への言い換え例

薬機法に違反する可能性のある表現は、より安全な表現に言い換えることで広告効果を保ちながらリスクを回避できます。

 

リスクのある表現安全な表現例言い換えのポイント
「美肌効果」「美容をサポート」効果から支援・サポートへ
「ダイエット効果」「理想のスタイルを目指す方に」効果から対象者の明確化へ
「健康改善」「健康的な生活をサポート」改善からライフスタイル支援へ
「疲労回復」「活力ある毎日に」回復から前向きな状態表現へ

美容・健康食品・サプリメント分野での薬機法違反は、商品の特性上避けにくい面もありますが、適切な知識と表現技術があれば十分に回避可能です。常に消費者の安全と法的コンプライアンスを最優先に考え、慎重な広告制作を心がけることが重要です。

薬機法チェックの実務ポイント|審査基準と確認方法

薬機法に適合した広告を制作するには、実際の審査基準を理解し、効率的なチェック体制を構築することが重要です。ここでは、薬機法チェックの具体的な実務ポイントと確認方法について詳しく解説します。

薬機法チェック体制の構築方法

効果的な薬機法チェック体制を構築するには、段階的なチェックフローの確立が必要です。制作段階から公開まで、複数のチェックポイントを設けることで、違反リスクを大幅に軽減できます。

社内チェック体制の整備

社内でのチェック体制は、担当者の役割分担を明確にすることから始まります。薬機法の知識を持つ担当者を配置し、その担当者が最終確認を行う仕組みを作ることが効果的です。また、定期的な研修を実施し、チーム全体の知識レベルを向上させることも重要な取り組みです。

外部専門家との連携

複雑な案件や判断に迷う表現については、薬機法に詳しい弁護士や行政書士などの外部専門家に相談することをおすすめします。特に新しい商品カテゴリーや革新的な表現を使用する場合は、専門家の見解を求めることで安全性を高められます。

審査基準の実践的理解

薬機法の審査基準は、厚生労働省が公表している各種ガイドラインに基づいて判断されます。これらの基準を実務に落とし込むには、具体的な事例と照らし合わせながら理解を深めることが必要です。

効能効果の表現基準

化粧品や健康食品における効能効果の表現は、それぞれ明確な基準が設けられています。化粧品では「化粧品等の適正広告ガイドライン」に示された56の効能効果の範囲内での表現が認められており、これを超える表現は薬機法違反となります。

 

商品カテゴリー表現可能な効能効果の範囲主な注意点
化粧品56項目の効能効果範囲内医薬品的効能効果は表現不可
健康食品栄養成分の機能表示のみ可能疾病の治療・予防効果は禁止
医薬部外品承認された効能効果のみ承認外の効能効果表現は違反

使用前後の比較表現の取り扱い

Before・After写真や使用体験談は、消費者に強い印象を与える表現手法ですが、薬機法上は慎重な取り扱いが求められます。個人の感想である旨を明記し、効果を保証するものではないことを明確に示す必要があります。

チェックリストを活用した確認手順

薬機法チェックを効率的に行うには、体系的なチェックリストの活用が有効です。項目別に整理されたチェックリストを使用することで、見落としを防ぎ、一定の品質を保つことができます。

基本チェック項目

すべての広告で確認すべき基本項目として、以下の要素をチェックします。商品カテゴリーの正確な分類、使用している表現の適法性、根拠資料の妥当性などが主要なチェックポイントです。

  • 商品分類の正確性(化粧品・医薬部外品・健康食品等)
  • 効能効果表現の適法性
  • 安全性に関する表現の妥当性
  • 使用方法・使用上の注意の記載
  • 根拠資料の確認と保管

媒体別チェック要素

広告媒体によって注意すべきポイントが異なるため、媒体別のチェック要素を整理することが重要です。テレビCMでは映像表現、Web広告ではリンク先ページとの整合性、SNS広告では拡散時の表現変化などを確認します。

違反リスクの早期発見方法

薬機法違反のリスクを早期に発見するには、定期的なモニタリング体制の構築が必要です。競合他社の広告表現や行政指導の動向を継続的に観察し、自社の広告表現を見直すことで、違反リスクを最小限に抑えることができます。

競合分析による基準理解

同業他社の広告表現を分析することで、業界内での表現基準を把握できます。ただし、他社が使用している表現が必ずしも適法とは限らないため、公的なガイドラインとの照合を必ず行うことが重要です。

行政指導事例の活用

厚生労働省や消費者庁が公表する行政指導事例は、薬機法チェックの重要な参考資料です。これらの事例を定期的に確認し、自社の広告表現に類似する問題がないかを検証することで、違反リスクを予防できます。

記録管理と証拠保全

薬機法チェックでは、チェック過程の記録と根拠資料の保全が重要な要素です。適切な記録管理により、後日の照会や監査に対応できる体制を整えることができます。

チェック記録の作成方法

チェック作業の記録は、日付・担当者・チェック内容・判断根拠を明記した形式で作成します。特に判断に迷った表現については、その判断プロセスと参照した資料を詳細に記録しておくことが重要です。

根拠資料の整理と保管

広告表現の根拠となる試験データや文献資料は、体系的に整理して保管する必要があります。資料の信頼性と妥当性を定期的に見直し、最新の科学的知見に基づいた根拠を維持することが求められます。

まとめ:薬機法に違反しない広告作成のコツとチェック方法

薬機法に適合した広告作成では、まず医薬品・医療機器・化粧品・健康食品の区分を正確に把握することが重要です。効果効能の表現は承認範囲内に留め、「治る」「治療」などの医療的表現は避けましょう。

Yahoo!やGoogleの広告審査でも薬機法違反は厳しくチェックされるため、事前に社内や専門家による確認体制を整えることが必要です。

定期的な見直しと最新の薬機法ガイドラインの確認により、リスクを最小限に抑えた広告運用が可能になります。

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