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海外に向けて広告を配信しよう ~主要国別の注意点編~
Google広告
WEBマーケティング
- 2025年11月3日
- 2025年10月27日

「自社の商品を海外で売りたいなぁ・・・。でも、どこにどうやって出せばいいのだろう」
そういったお悩み、みなさんも持っているのではないでしょうか?
海外とひと口に言っても、アメリカや中国、ロシア、ドイツやイギリスなど主要国だけでも多く、さらに地域や言語の壁を考えると選定は容易ではありません。
今回は世界的なシェア率を誇る Google広告を前提 とし、海外に広告を出稿する際に理解しておくべきポイントを整理しつつ、特に注目される5か国について解説します。
目次
海外広告を出稿する際に知っておくべきポイント
海外で広告を展開する際には、国内と同じ感覚で進めるのは危険です。国によって法規制や商習慣が異なり、想定外のトラブルにつながるケースも少なくありません。ここでは、まず全体を理解するために基本的な3つの観点を押さえておきましょう。
国ごとの広告規制の違い
広告配信は「どこでも自由にできる」と思われがちですが、実際には各国で異なる規制が存在します。
- 中国のようにGoogle広告そのものが使えない国
- ロシアのように政治的・法的な要因で広告審査が厳しい国
- EU諸国のようにプライバシー保護(GDPR)が特に強い国
このように、出稿先の国を決める前に必ず「その国で何が可能で、何が制限されているのか」を調べる必要があります。規制を無視して配信を試みると、アカウント停止や法的リスクに発展することもあります。
文化・言語・商習慣が広告成果に与える影響
広告が「届く」かどうかは、言語だけではなく文化や商習慣にも大きく左右されます。
- 同じ英語でも、アメリカ英語とイギリス英語ではニュアンスが異なる
- ドイツの消費者は「品質・信頼性」を重視し、過度な誇張表現は好まれにくい
- アメリカでは「スピード感」「割引・お得感」を打ち出した方が響きやすい
つまり、単に翻訳するだけでは効果は半減してしまいます。現地の文化や購買心理に合わせてコピーやクリエイティブを調整することが、成果を最大化する近道です。
Google広告が使える国/使いにくい国
Google広告は世界中で使われていますが、必ずしも「どこでも使える」わけではありません。
- 使える国:アメリカ、ヨーロッパ諸国、日本など(グローバルスタンダードとして安定)
- 使いにくい国:ロシア(規制が多く安定しない)、一部中東諸国(制限あり)
- 使えない国:中国(代替媒体として百度・WeChatなどを利用)
まずは 「Google広告が有効に使える国」からスタートする のが現実的です。その上で、どうしても規制のある市場に挑戦する場合は、現地特有の広告プラットフォームを組み合わせる必要があります。
Case1:アメリカ編 ~広告出稿の王道市場~
アメリカは世界最大の広告市場であり、多くの企業が真っ先に狙う国です。市場規模が大きい分、チャンスも豊富ですが、同時に競争率が非常に高く、広告費用も高騰しやすいのが特徴です。
競争率の高さと市場規模の大きさ
アメリカ市場は購買力が高く、オンライン広告への支出も世界トップクラス。そのため成果が見込める一方で、入札単価は高額になりがちです。
また、昨今の動きから関税率の引き上げなどもあり、総合的な利益は縮小するかもしれません。
Google広告とSNS広告の相性
Google広告の利用は当然盛んですが、Facebook、Instagram、TikTokといったSNS広告と組み合わせることで認知拡大から購入までスムーズに誘導できます。
しかし、Tiktokの配信規制などもあるため今後どうなるのかは未知数です。使うとするならGoogleを始めとする広告媒体が一番安全に運用ができるでしょう。
ターゲティングの重要性
アメリカは地域や人種、所得層によって購買行動が大きく異なります。広く配信するのではなく「どの層に絞るか」を明確にすることが、広告効果を高めるポイントです。
Case2:中国編 ~Google広告が使えない国~
中国は世界第2位の経済大国ですが、Google広告は原則として利用できません。これは中国政府によるインターネット規制(いわゆる「グレート・ファイアウォール」)が背景にあります。
百度(Baidu)広告
中国版Googleといわれる検索エンジン百度は、検索広告の主流。ユーザーの利用率も高く、現地で広告を展開するなら必須の媒体です。
WeChat広告
生活インフラとも言えるWeChatは、SNS・決済・ECが一体化した巨大プラットフォーム。ターゲティング精度が高く、BtoC広告に強みがあります。
広告出稿の注意点
中国市場では広告表現に関する規制が厳しく、翻訳のニュアンスや文化的背景を軽視すると逆効果になりかねません。専門のパートナーと組むことが成功の鍵となります。
Case3:ロシア編 ~配信可能だが制限が多い国~
ロシアではGoogle広告自体は利用可能ですが、政治的な要因や法律による制限を受けやすい市場です。特に広告審査が厳しく、配信できる内容が限られるケースもあります。
Yandex(ヤンデックス)広告の強み
ロシア独自の検索エンジン「Yandex」は、国内シェアがGoogleを上回ります。ロシア市場を狙うならYandex広告の活用は不可欠です。
規制の影響とリスク
広告審査の基準は不透明で、国際情勢により突然出稿が停止されるリスクも存在します。リスク分散を考え、複数媒体を併用する戦略が望ましいです。
文化的背景の理解
ロシアの消費者は欧米や日本とは異なる購買心理を持ちます。広告クリエイティブは「誠実さ」や「信頼感」を重視する傾向が強く、誇大表現は逆効果になる場合があります。
Case4:ドイツ編 ~ヨーロッパ市場の代表例~
ドイツはEUを代表する経済大国であり、ヨーロッパ市場への入口として注目されます。Google広告の利用は問題なく可能ですが、他の国と比べて法律面のハードルが高いのが特徴です。
GDPR対応の重要性
EUのGDPR(一般データ保護規則。プライバシー強化のための法令)は世界でも最も厳しい個人情報保護法のひとつ。クッキー利用やリターゲティング広告に制約があるため、設定段階で必ず遵守が求められます。
Google広告の活用
ドイツ市場ではGoogle広告の利用率が高く、検索広告・ディスプレイ広告ともに有効です。ただし英語よりもドイツ語での広告が成果につながりやすい点に注意しましょう。
EU全体を視野に入れた戦略
ドイツ単体で広告を打つのではなく、EU圏全体(フランス、オランダ、オーストリアなど)をターゲットにした広域戦略を取ると、効率的に市場を開拓できます。
ただ、どの国も公用語は異なるので、その点は注意しなければなりません。
Case5:イギリス編 ~EU離脱後の独自市場~
イギリスは歴史的に貿易の中心地であり、広告市場も成熟しています。Google広告をはじめとするオンライン広告の利用率は非常に高く、アメリカに次いで狙いやすい国のひとつです。ただし、EU離脱(ブレグジット)後の規制や文化的背景には注意が必要です。
オンライン広告の活用度
イギリスの消費者はオンライン検索やSNSの利用率が高く、特にGoogle広告は生活に密接に結びついています。検索広告やディスプレイ広告はもちろん、YouTube広告も効果的に活用できます。
文化的背景と購買行動
イギリスでは「合理性」と「伝統」を重視する傾向があり、過剰なセールストークは好まれません。シンプルで誠実なメッセージが受け入れられやすく、価格訴求よりも「品質・信頼性」を重視した訴求が効果的です。
EU離脱後の法規制
イギリスはEUを離脱したため、GDPRは直接適用されませんが、同等の「UK GDPR」が施行されています。そのため、個人情報保護の観点ではEU諸国とほぼ同じレベルの対応が必要です。国境を越えた広告出稿を行う際には、この点に注意しましょう。
各国の特徴まとめ
ケースごとに分けて説明しましたが、それらをまとめたのが次の表になります。
| 国名 | Google広告利用 | 主な代替媒体 | 規制の特徴 | クリック単価の目安 | おすすめ業種 | 消費者傾向・文化的特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アメリカ | ◎(広く利用可) | Facebook / Instagram / TikTok | 規制は比較的緩やか、競争率が非常に高い | 約200〜400円 | SaaS、EC、ファッション、デジタル商品 | 割引・スピード感が好まれる、ターゲティング重要 |
| 中国 | ×(利用不可) | 百度(Baidu) / WeChat | 政府規制が強い、広告表現に制約が多い | 約150〜300円 | 家電、化粧品、教育関連、日用品 | 翻訳・文化理解必須、ブランド志向が強い |
| ロシア | △(制限多い) | Yandex | 政治的要因で広告停止リスク、審査不透明 | 約80〜200円 | ゲーム、生活必需品、ITサービス | 誠実さ・信頼感重視、誇大広告は逆効果 |
| ドイツ | ◎(利用可) | Google中心 | GDPRによる個人情報保護規制が厳しい | 約100〜250円 | BtoB製品、工業製品、耐久財、旅行関連 | 品質・信頼性重視、ドイツ語広告が有効 |
| イギリス | ◎(利用可) | Google中心 | UK GDPR施行、EUと同等レベルの規制 | 約120〜250円 | 高級消費財、金融サービス、教育関連 | シンプルで誠実な訴求が好まれる、合理性重視 |
Q&A
Q1 Google広告が「使えない国」と「制限が多い国」における、広告出稿の最も大きなリスクの違いはなんですか?
A1
使えない国(中国): プラットフォームの根本的な変更(百度など)と、それに伴う独自の規制・文化的な壁の克服が必須です。
制限が多い国(ロシア): 配信の不安定さ(政治的・法的要因による突然の停止リスク)と、不透明な審査基準への対応が常に必要な点です。
Q2 ドイツのGDPRと、イギリスのUK GDPRの広告運用上における違いはなんですか?
A2 基本的に厳しさとしては同等レベルですが、GDPRはEU全体をカバーし、域内統一的な罰則規定を持つ点で、広範囲な影響力があります。UK GDPRは英国のデータ移転の取り決めにより、運用が複雑化する可能性がある点に注意。
Q3 BtoBの商材を海外展開する場合、効率的な市場と挑戦的な市場を教えてください!
A3
高効率:ドイツ。 Google広告が利用可、消費者傾向が「品質・信頼性重視」(BtoB商材と相性が良い)で、EU市場への入口として参入しやすいです。
挑戦的:中国。 Google広告が利用不可、独自のプラットフォーム(百度)での展開が必須ではあるものの、世界第2位の経済大国であり、SaaSや産業分野のデジタル化の波に乗ることで最大の成長が期待できます。ただし、リスクもそれに比例する形であるのでリスクヘッジは常にしておくことが大事です。
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まとめ ~海外向け広告出稿の第一歩~
いかがだったでしょうか。
海外広告は「どの国でも同じように出せる」わけではなく、国ごとに広告事情や規制が大きく異なります。
- アメリカは競争激化だが市場規模が大きい
- 中国はGoogleが使えず独自媒体が必要
- ロシアは規制リスクが多く、Yandexの活用が不可欠
- ドイツはGDPRをはじめ法律面での対応が重要
最初は比較的出稿しやすい国から始め、徐々に難易度の高い市場に広げていくのが現実的なアプローチです。
次回は「おすすめの出稿国と広告媒体編」として、実際に成果が出やすい国や、その国で効果的な広告媒体をご紹介します。ぜひ続けてご覧ください。
