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海外に向けて広告を配信しよう ~広告の設定編~
WEBマーケティング
マーケティング手法
- 2025年11月5日
- 2025年10月27日

前回(海外に向けて広告を配信しよう ~おすすめの出稿国編~)の続きとなります。
「広告を出す国は決まったけれど、いざGoogle広告の管理画面を開いてみると、設定が複雑でどこから手を付ければいいのかわからない…」
そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。
国内向けの広告運用に慣れている企業であっても、海外市場をターゲットにすると、一気に難易度が上がります。その理由は、言語・文化・時差・通貨・広告規制など、国ごとに異なる要素が絡み合うからです。
今回は、Google広告を使って海外市場にアプローチする際に押さえておくべき基本設定から、広告クリエイティブを現地に合わせるための工夫、さらにはケース別の具体的な実践例までを解説していきます。
目次
海外広告を設定する際の基本ポイント
言語設定の注意点
海外向けにGoogle広告を配信する際、広告を出す国によっては英語だけでなく、現地言語での広告配信が必須です。たとえば、ドイツで広告を出すならドイツ語、台湾なら繁体字中国語を設定する必要があります。「英語圏だから英語で十分」と考えるのは危険です。現地の言語で広告を出すことで、ユーザーの親近感が増し、結果的にクリック率を大きく高めることができます。
地域ターゲティングの設定
広告の費用対効果を最大化するためには、単に「国」単位でターゲティングするのではなく、都市や州、さらには特定の郵便番号にまで絞り込むと効率的です。例えば、アメリカは州ごとの文化差が大きく、ニューヨークとテキサスでは人々の購買行動や広告に対する反応が異なります。現地の人口が集中している地域や、ターゲット層が多く居住する地域に絞ってターゲティングすることで、無駄なクリックを減らし、コンバージョンにつながる見込み客にリーチしやすくなります。
通貨・時差・スケジュール管理
広告アカウントの通貨設定を現地通貨に合わせておくと、予算管理やレポート分析がしやすくなります。日本円での管理も可能ですが、為替変動のリスクや、現地ユーザーの広告費を正確に把握するのが難しくなることがあります。また、広告配信時間は現地のユーザーの購買行動に合わせて設定しましょう。例えば、シンガポールでは朝の通勤時間帯や夜間にスマートフォンでの検索や購買が多くなる傾向があります。現地のゴールデンタイムを狙って配信を最適化することが重要です。
ただし・・・
皆様はGoogleで検索をする際、「英語で検索」したことはありますか?
したことない方は試しに英語で検索してみてください。恐らく、海外のサイトが上部に表示されたのではないでしょうか。
これは、Googleが検索語句に合わせて適切なサイトを表示するようになっているためなのですが、これは日本に限った話ではなく、海外でも同じく海外のサイトが表示されます(アメリカの方が日本語で検索すると日本のサイトが表示される)。
今回ピックアップしたい話は、この「海外のサイトも表示される」という仕様についてです。これを活用すれば、日本のサーバーにサイトを置きながら、海外に自社のサイトを表示させることができます。さらに、広告を活用すれば効率的に海外のユーザーを獲得することができます。
ただし、現地の法律が変わり、「このサイトを表示することはふさわしくない」と判断されてしまうと、結果としてサイトが非表示になってしまうリスクが伴います。
また、ECサイトの売上に繋げるのであれば、通貨や支払い方法については、しっかりと整備をすることは必須項目といえるでしょう。
広告クリエイティブ作成時のポイント
文化的な表現の調整
広告クリエイティブは、現地の文化や価値観に合わせて調整する必要があります。例えば、アメリカでは派手でキャッチーなコピーが好まれますが、ドイツでは論理的で具体的な数字に基づいた表現に信頼を置く傾向があります。タイでは親しみやすくフレンドリーなトーンが響きやすく、スウェーデンではシンプルで誠実な表現が好まれます。現地の文化や国民性を理解し、それに合わせたメッセージを伝えることが成功の鍵となります。
画像・動画素材の最適化
画像や動画素材も、文化的にNGな色や表現を避けるように最適化しましょう。例えば、日本では清潔感を連想させる「白」が、中国では葬儀を連想させるため、慎重な使用が求められます。また、東南アジアでは動画広告が特に効果的であるというデータもあります。現地のインターネット環境や通信速度も考慮し、最適なフォーマットでクリエイティブを作成しましょう。
ランディングページの現地最適化
広告をクリックしたユーザーがたどり着くランディングページ(LP)も、現地に最適化することが必須です。言語の翻訳だけでなく、通貨表示、配送条件、そして決済手段を現地仕様にする必要があります。例えば、カナダではクレジットカードだけでなく、PayPal決済が広く普及しています。ユーザーが使い慣れた決済方法を提供することで、購入までの障壁を下げることができます。
ただ、様々な決済方法を用意することは、購入につながりやすくなるのと同時に、コストがその分かかってしまいます。最初は狭く、利益が拡大してから様々な決済方法を取り入れていく、といった流れが費用対効果が高いといえるでしょう。
Google広告の実践的な設定テクニック
キーワード戦略
海外での広告運用において、キーワード戦略は非常に重要です。各国で検索されやすいキーワードは異なります。例えば、英語圏で「eco-friendly product(環境配慮商品)」と検索される商品も、ドイツでは「nachhaltige produkte」といった現地語で検索されることが一般的です。Googleキーワードプランナーを国別に活用し、現地のユーザーが実際に使っているキーワードを調査することが不可欠です。
オーディエンスターゲティング
年齢、性別、興味関心など、詳細なオーディエンス設定でターゲット層を絞り込みましょう。カナダでは、特にBtoB向けのサービスの場合、Google広告とLinkedInを組み合わせた広告運用が効果的です。また、韓国ではインフルエンサーとの親和性が高いターゲティングを行うことで、口コミやシェアによる拡散が期待できます。
広告スケジュールの最適化
各国の「ゴールデンタイム」を見極めて、広告配信スケジュールを最適化します。アメリカでは昼休みや夕方に、台湾では夜間にインターネット利用がピークを迎える傾向があります。ターゲットとする国のユーザーが最もアクティブになる時間帯に予算を集中させることで、効率的な広告配信が可能になります。
ケース別の実践アドバイス
Case1:台湾で観光業を展開する場合
台湾のユーザーにリーチする場合、広告の言語は繁体字中国語が必須です。台湾では週末や連休に旅行の計画を立てる人が多いため、その期間に広告を集中して配信すると効果的です。また、台湾ではLINEが広く普及しているため、Google広告とLINE広告を併用することで、ユーザーとの接触機会を増やすことができます。
Case2:シンガポールで教育サービスを展開する場合
シンガポールでは英語が広く使われているため、英語広告で十分にサービスをアピールできます。特に富裕層をターゲットにする場合、「プレミアム感」を訴求するクリエイティブが響きやすいでしょう。また、共働き家庭も多いため、夜間にオンラインで情報収集を行う傾向があります。そのため、広告スケジュールは夜間配信に強化すると良いでしょう。
Case3:カナダでBtoB SaaSを展開する場合
カナダでBtoB SaaSを展開するなら、Google広告に加えてMicrosoft広告(LinkedIn連携)を組み合わせるのがおすすめです。これにより、ビジネスプロフェッショナル層に直接リーチできます。ターゲティングは、新しいツールやサービスに興味のある18〜34歳の若手ビジネス層を中心に設定すると良いでしょう。また、ランディングページには「無料トライアル」への導線をわかりやすく配置することで、コンバージョン率を高めることができます。
Q&A
Q1 広告クリエイティブで、日本ではポジティブな印象の色である「白」を中国では避けるべきということは分かりました。他にこういった色の印象が違う国などはありますか?
A1 例えば、緑色は日本だと「癒し」や「穏やかさ」などを連想させるカラーですが、欧米だと「毒」「怪物」などを連想させるカラーにもなるそうです。そういえば、映画「エイリアン」でおなじみのゼノモーフの血液は緑でしたね。
Q2 ドイツとアメリカでは、広告コピーの文化的表現にどのような違いを持たせるべきですか?
A2 アメリカ:では派手でキャッチーなコピーが好まれます。また、「本気のやつだけ来い」といった非常に挑戦的なコピーも一定の成果を出しているようです。 ドイツでは 論理的で具体的な数字に基づいた、信頼を置ける表現が好まれており、クリエイティブにおいてもその部分を目立たせて作成しているようです。
Q3 日本のサーバーにサイトを置いたまま海外に広告を出す運用は効率的ですが、これに伴うリスクは何ですか?
A3 現地の法律が変わり、「このサイトを表示することはふさわしくない」と判断されてしまうと、結果としてサイトが非表示になってしまう(アクセス不可となる)リスクが伴います。そのため、現地の情報は常に把握できるようにしておきましょう。
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まとめ ~設定の工夫が成果を左右する~
いかがだったでしょうか。
海外広告は、「どの国に出すか」だけでなく、どう設定するかで成果が大きく変わることがおわかりいただけたでしょうか。
言語、文化、配信スケジュール、そして媒体特性を意識することで、たとえ少ない予算でも効率的な運用が可能です。
しかし、今回ご紹介した内容はほんの一部分でしかなく、またこれが正解である、ということもありません。
本格的に海外に展開をする際は、現地のパートナーと協力をして進めるのが確実であり、法律などによって状況が刻々と変化していくので、リスクは常にあると考えておかなければなりません。
ですが、それを乗り越えて成功した時のリターンも大きいため、入念な調査と準備だけではなく、収支のバランスも計算した上で計画的に進めていく事が大事です。
次回は「国別のクリエイティブ」として、各国に合わせたクリエイティブの色やフォントなどをご紹介。ぜひ、続けてご覧ください。
