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医薬品マーケティングの基本 ~広告で使える表現・NG表現を徹底解説~

WEBマーケティング

  • 2025年4月21日
  • 2025年4月17日

医薬品広告の正確な理解は、企業のブランディングや消費者の安全確保に直結します。

本記事では、医薬品の定義、広告と認められる要件、そして薬機法や景品表示法などの法令に基づく規制内容を体系的に解説。さらに、テレビやWEB、SNSなど各媒体での注意点や具体的な成功例と課題を明らかにし、リスクを最小限に抑えた効果的な広告戦略の実践方法を提示します。

この記事を読むことで、安心して採用できる広告表現と実務での法的トラブル回避のコツが身につきます。

医薬品広告とは?基本の考え方

医薬品広告は、医薬品の安全性や効果に関する情報を消費者や医療関係者に正確かつ分かりやすく伝えるためのマーケティング手法です。広告制作においては、法令に基づいた厳正な確認プロセスが求められ、その内容は慎重に策定されます。情報が正確であること、そして不適切な表現が排除されることにより、利用者が安心して医薬品を選ぶための基盤が整えられています。

また、医薬品広告は医療従事者向けと一般消費者向けで伝える内容が異なり、各媒体ごとの規制に応じた表現が必要です。狙いとする対象や広告媒体、伝えたい内容に合わせた適切な表現が求められるため、専門的な知識と最新の法令情報に基づいて広告文言が策定されます。

対象になる「医薬品」の範囲とは

医薬品広告で対象となる「医薬品」には、医師の処方が必要な処方薬や、薬局などで購入できる一般用医薬品が含まれます。各製品は、厚生労働省等の官公庁が承認した内容に基づき、効能や用法、使用上の注意など詳細な情報が定められています。これにより、広告表現にあたっては、製造販売承認内容と一致した情報の記載が必須となります。

一方で、医薬部外品や健康食品、一部のサプリメントなどは、医薬品とは異なる法的枠組みで運用されるため、広告表現にも区別が見られます。正確な分類・定義を把握することが、医薬品広告を作成する上で非常に重要となります。

「広告」に該当する条件(表示媒体・目的など)

医薬品広告は、使用される媒体や目的に応じて、その内容や表現方法にさまざまな制約が設けられています。テレビCM、新聞・雑誌、Webサイト、SNS、店舗掲示物など、各媒体ごとに要求される表現の精度や確認手続きが異なるため、制作段階で媒体ごとの特性を正確に把握する必要があります。

下記の表は、医薬品広告に関連する主要な条件とその説明を整理したものです。

 

要素説明
表示媒体テレビ、ラジオ、新聞・雑誌、Webサイト、SNS、パンフレット、店舗掲示など多岐にわたり、各媒体で求められる情報の精度が異なる。
目的医薬品に関する正確な情報の伝達を通して、商品認知の向上と安全な利用方法の普及を目指す。医療従事者向けと一般消費者向けで訴求ポイントが異なる。
伝達内容医薬品の効能、用法、使用上の注意、副作用など、科学的根拠に基づいた正確な情報を記載することが必須となる。

これらの条件は、医薬品という特性上、誤解や混乱を招かないために設けられています。広告作成時には、各媒体の規制や目的に沿った表現の選定、ならびに最新の法令に合わせた内容修正が行われることが求められます。医薬品の正確な理解を促すため、広告制作の段階から緻密なチェック体制が構築されるのです。

医薬品広告に関わる法律と規制

薬機法とは?医薬品広告との関係

薬機法は、医薬品、医療機器、再生医薬品、化粧品などの品質、有効性および安全性の確保を目的とした法律です。この法律は、医薬品の製造、販売、そして広告表現に対して厳格な基準を設けています。医薬品広告においては、実際の効果やリスクを正確に伝える必要があり、誇大な表現や根拠のない効能の強調は認められていません

具体的には、薬機法は医薬品の広告に対して、科学的根拠に基づいた内容であることを要求し、消費者が誤解しないように配慮することが重要とされています。医療従事者や広告代理店は、薬機法に定められたガイドラインに従い、事前の審査や内部チェックを実施するなど、表示内容の正確性を確保しています。

景品表示法との違い

景品表示法は、商品の取引において不当な表示や過大な景品提供によって消費者を誤認させることを防止するための法律です。医薬品広告においては、薬機法と景品表示法が重なる部分もありますが、目的や規制対象が異なります。薬機法が医薬品自体の安全性や効果の正確な伝達に重点を置いているのに対し、景品表示法は主に販売促進にかかわる不当表示を取り締まります

以下の表は、薬機法と景品表示法の主な違いを整理したものです。

 

法律名称対象範囲目的規制内容
薬機法医薬品、医療機器、化粧品など医薬品の品質・有効性・安全性の確保広告表現における誇大・虚偽の表示の禁止、事前審査の実施
景品表示法商品の販売全般消費者に対する誤認の防止過大な景品の提供や虚偽・誇大な広告表現の取り締まり

このように、両法律は広告における表示内容や表現方法に関して異なる視点から規制を行っています。医薬品広告を作成する際には、双方の法律を理解し、適切な表現を選ぶことが求められます。

違反事例にみるNGパターン

過去の違反事例は、医薬品広告における表現の落とし穴を示しています。以下に代表的なNG表現とその背景について説明します。

まず、効果や効能について即効性の強調必ず治るといった断定的な表現は、実際の効果の個人差や使用上の注意を無視するため、薬機法の趣旨に反する事例として指摘されています。また、科学的根拠が不十分なまま、過剰な期待を抱かせる表現も問題視されています。

さらに、実際の患者の体験談や口コミを広告に利用する場合、その内容が恣意的に編集され、事実に即さないというケースも発生しています。こうした事例は消費者に誤解を与え、信頼を損なう結果となるため、厳格な審査が行われる対象となります。

以下の表は、具体的な違反事例とNGパターンの詳細を整理したものです。

 

事例問題となる表現行政の指摘内容
即効性の主張「すぐ効く」「即効性を実感」個人差や使用上の条件を無視した誇大表現であり、科学的根拠の提示が不十分
確約表現「必ず治る」「確実に改善」治療効果に関する過大な期待を生む断定的な表現と判断される
編集された体験談「○○さんの劇的改善例」実際の体験が恣意的に強調され、統計的根拠やリスクの説明が不足している

これらの違反事例は、広告制作時に慎重な表現選択と内部チェック体制の整備が求められる理由を示しています。医薬品広告を作成する際は、関係法令に沿った正確な情報提供が必須であり、事前の確認や審査の体制を整備することが重要です。

媒体別の注意点

テレビCMの注意点

テレビCMは映像と音声を通して広範な視聴者に情報を伝えるため、広告における表現の正確性と科学的根拠の提示が特に重要となります。薬機法や放送関連のガイドラインに基づき、誇大表現や根拠のない効果のアピールは厳しく禁止されています。映像内でのナレーションおよびテキスト表現は、対象医薬品の適用条件や使用上の注意を正しく伝える必要があります。

また、放送局や自主規制団体が定める基準に基づいた映像制作を行い、審査を経た上で放送されることが求められます。こうした取り組みにより、視聴者に対して安心かつ正確な情報提供が実現され、信頼性の高い広告運用が可能となります。

SNS・WEB広告での注意点

SNSやWEB広告は、ターゲットに対して直接アプローチできるため効果的な媒体ですが、その拡散力の高さから、少しの誤解を招く表現が大きな影響を与えるリスクがあります。掲載する情報は、医薬品の効能・効果、副作用などについて、正確で検証されたデータに基づいた情報提供が必要です。特に、利用者の口コミや体験談を活用する際は、事実確認と共にその表現方法について十分な注意が求められます。

また、ユーザー生成コンテンツを活用する場合には、対象医薬品に関する誤解を与えないよう、運営側でのチェック体制を整えることが大切です。下記の表は、SNS・WEB広告における具体的な表現例とその可否、注意点を整理したものです。

 

表現例可否注意点
「すぐ効く」NG科学的根拠が不十分な表現のため
「必ず治る」NG個人差や適用条件を無視した表現となるため
「一部のユーザーで効果を実感」OK具体的なデータ提示と条件記載が必要
「体験談による評価」条件付きOK事実確認と明確な開示が求められるため

パンフレット・店舗掲示での規制

医薬品のパンフレットや店舗で掲示される広告は、紙媒体ならではの限られたスペース内で情報を伝える必要があるため、正確な情報の明示と分かりやすいデザインが重要です。印刷物においては、医薬品の効能、副作用、適用対象などの情報を過不足なく記載することが求められ、誤解を招く表現や誇大なビジュアルは厳禁とされています。

また、デザイン面でも、文字の大きさやレイアウト、ビジュアルの配置に留意し、医薬品の内容が確実に伝わる表現に努める必要があります。以下の表は、パンフレット・店舗掲示における留意点を整理したものです。

 

項目ポイント規制内容
情報の正確性効能・効果、副作用科学的根拠に基づいた正確な記載が必要
デザイン・レイアウト視認性と理解しやすさ情報が誤解なく伝わるレイアウトを採用する
ビジュアル表現イラスト、写真の使用効果を誇張しない、客観的な表現に留める

OKな表現・NGな表現の具体例

「すぐ効く」「必ず治る」は使える?

医薬品広告において、「すぐ効く」や「必ず治る」などの断定的な表現は誤解を招く恐れがあるため、原則として避ける必要があります。これらの表現は、実際の効果に個人差がある医薬品に対して過剰な期待を持たせるリスクがあり、法令に定められた基準に抵触する場合があります。

一方で、効果や作用機序について正確かつ事実に基づく情報提供が行われる場合は、具体的なエビデンスを記載するなど、慎重な表現の工夫が求められます。以下の表は、NG表現とそれに対する適切な表現例を整理しています。

 

分類NG表現例適切な表現例
効果の断定すぐ効く使用後、効果が現れる場合がある
治療の保証必ず治る症状の改善が期待できる

記載の際は、医療関係の専門家の見解や、承認された臨床試験結果など、信頼性の高い情報に基づく説明を心がけることが重要です。

「口コミ」や「体験談」の取り扱いについて

近年、医薬品広告においてはユーザーの実際の使用感や経験談を取り入れるケースが増えています。しかしながら、これらの情報は個人差が大きく、一部の事例だけが全体の効果を反映するものではありません。そのため、「口コミ」や「体験談」を利用する際は、虚偽性や誇大広告とならないよう注意が必要です。

具体的には、以下のポイントに留意してください。

  • 実際の体験談であることを明示する
  • 使用者の個人的な感想であることを示す
  • 効果を保証する表現を併用しない

下記の表は、口コミ・体験談の記載方法における注意点と具体例を整理したものです。

 

記載パターン注意点
実体験の記述実際に使用して、〇〇という改善が見られた個人の感想であり、すべての人に当てはまるわけではない点を明記
多数の意見の紹介複数の方の声を集めた結果、〇〇との回答が多かった全体の傾向として紹介し、断定的な表現は避ける

このような記載をすることで、閲覧者に対して情報の出所や背景を明示し、誤解を与えない広告表現が可能となります。

ビジュアル表現の注意点

医薬品広告で使用されるビジュアル表現においては、画像やイラスト、動画などが医薬品の効果や使用方法を視覚的に伝える手段として重要です。しかし、画像による表現が事実と異なる誤認を招く場合、消費者に誤解を与えるリスクがあります。

例えば、期待される効果を過剰に強調するようなビジュアルは、法律上問題となる可能性があるため、使用する画像は必ず実際の使用状況や承認された情報に即したものである必要があります。

以下の点に留意してビジュアルを選定・加工してください。

  • 使用前後の比較画像を用いる場合、必ず具体的な条件や経過期間を明記する。
  • 効果を誇張する編集は行わず、実際の商品のパッケージや使用法を正確に伝える
  • イラストの場合は、あくまで概念的な説明に留め、誤解を招かないデザインにする

また、医療機関や薬局の実際の風景、医療従事者が説明を行うシーンなど、信頼性を伝えるビジュアルを採用することで、消費者に安心感を与える広告を作成することが推奨されます。

最終的には、広告全体の内容が正確かつ透明であり、閲覧者が情報の信頼性を判断できるような構成にすることが必要です。

医薬品広告の成功事例

ここでは、実際に医薬品広告を展開し、適切な訴求と規制遵守を両立させた成功例について詳しく解説します。各事例は、消費者に対して正しい情報提供を行いながら、ブランドイメージを高めるための工夫が施されている点が特徴です。

啓発型広告でブランド認知に成功した例

ある大手製薬企業は、疾患や健康維持に関する正しい知識を消費者に伝える啓発型広告を展開しました。この広告は、医薬品自体の宣伝に留まらず、疾患のリスクや予防法に関する情報を盛り込み、消費者の健康意識を向上させることに成功しました。具体的には、次のような特徴があります。

 

ポイント具体的施策
信頼性の高い情報提供医療専門家との連携を図り、エビデンスに基づく情報をわかりやすく解説。
啓発コンテンツの充実疾患に関する基礎知識から最新の治療法までを図解やインタビュー形式で紹介。
ブランドイメージの向上消費者に安心感と信頼感を与える啓発活動を通して、ブランド認知度および好感度を向上。

この結果、消費者は医薬品自体の効果よりも、企業が提供する情報そのものに興味を持つようになり、医薬品の利用だけでなく、健康全般への意識も向上しました。キャンペーン開始後はウェブサイトのアクセス数や問い合わせ件数が従来比で大幅に増加し、ブランド認知の向上に直結しました。

広告の範囲を守りつつ訴求したSNS活用事例

別の製薬企業は、厳格な広告規制を遵守しながらも、SNSを活用して医薬品の魅力を発信する施策を実施しました。この事例では、医薬品の正確な情報提供とソーシャルメディア上でのユーザー参加型のキャンペーンが融合し、消費者とのコミュニケーションを強化しました。

具体的な取り組みは以下のとおりです。

 

施策実施内容
規制遵守のためのコンテンツ設計医薬品広告として認定される範囲を遵守し、効果効能の表現を控えながらも、分かりやすい健康情報を発信。
ユーザー参加型のキャンペーン実際の患者の体験談や日常の健康習慣に焦点を当てた投稿を募集し、ハッシュタグキャンペーンを展開。
専門家の監修医療専門家による監修コメントを随時配信し、情報の信頼性を確保。

このSNS活用事例では、キャンペーン期間中に投稿数が増加し、フォロワー数が従来の3倍以上に拡大しました。さらに、ユーザーからのコメントやシェアにより、有益な情報として認識され、医薬品に関する相談件数も増加するなど、企業のマーケティング効果が顕著に現れました。

以上の事例は、正確な情報提供規制を遵守したクリエイティブなコンテンツ運用が両立するとともに、ターゲット層に対して適切なメッセージを届けることの重要性を示しています。こうした結果から医薬品広告においても、消費者の信頼を獲得しつつ、企業のブランド価値を高めることが可能となります。

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まとめ

いかがだったでしょうか。本記事では、医薬品広告の基本理念から各法令の要求事項、媒体特有の注意点まで体系的に解説しました。

薬機法や景品表示法の枠内で、誤解を招かず消費者に正確な情報を伝える方法を具体例とともに説明を行いました。

広告運用にあたっては法令遵守を徹底し、効果的な表現選定が不可欠です。正しい知識に基づく戦略が、医薬品広告の信頼性向上とブランドの発展につながることを示しています。

この記事を書いた人

FC編集部

FC編集部

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