LINEギフトは、国内月間9,500万人が利用するLINEを通じて商品を販売できるプラットフォームです。この記事では、「LINEギフトに出店したいけれど、どうすれば始められるのか分からない」「申請の手順や必要な準備が知りたい」とお考えの方向けに、基本的な仕組みから出店申請の具体的な流れ、出店によって得られるメリット、そして審査や手数料といった実務上の注意点まで、出店を考えている事業者が知っておくべき情報をまとめて解説します。

1. LINEギフトとは？まず押さえておきたい基本

　LINEギフトは、メッセージアプリ「LINE」上でギフトを選んで友だちに贈ることができるサービスです。住所を知らない相手にもプレゼントを送れる仕組みが特徴で、誕生日や記念日、ちょっとしたお礼など、さまざまなシーンで活用されていて新たな販売チャネルを検討している事業者から注目されています。

1-1. LINEギフトの仕組み

　LINEギフトは、LINEアプリ内から直接ギフトを選んで購入し、トークで相手に送信できるサービスです。受け取った側は、LINEのトーク画面に届いたギフトメッセージを開き、自分の住所や受取方法を入力することで商品を受け取ります。

　住所を事前に知らなくても贈り物ができる点が最大の特徴で、従来のギフト購入では必要だった相手の個人情報の把握が不要になります。また、スターバックスのドリンクチケットやコンビニで引き換えられるスイーツなど、デジタルギフトも豊富に揃っており、即時性の高い贈り物として人気です。

　購入者は商品を選んでメッセージを添え、トークで送信するだけの簡単な操作で完了します。受取側も住所入力だけで手続きが済むため、送る側と受け取る側の双方にとって手軽なギフト体験を実現しています。

1-2. 通常のEC・モールとの違い

　LINEギフトと楽天市場やAmazonなどの一般的なECモールとの最も大きな違いは、購入者自身が使うための買い物ではなく、他者へ贈ることを前提とした設計になっている点です。通常のECサイトでは、商品を検索して自分のカートに入れ、配送先に自分の住所を指定するのが基本ですが、LINEギフトでは最初から「誰かに贈る」という目的で商品が並んでいます。

　また、通常のECサイトでは住所を入力するのは購入者ですが、LINEギフトでは受取側が自分で住所を入力する仕組みです。これにより、相手の住所を知らなくてもギフトを贈れるという独自の価値を生み出しています。

　さらに、LINEギフトはコミュニケーションツールであるLINE上で完結するため、ギフトを贈る行為そのものがメッセージのやり取りの一部として自然に組み込まれています。友だちとの会話の流れで気軽にプレゼントを贈れる体験は、従来のECサイトにはない魅力です。

1-3. どんなユーザーに使われているサービスか

　LINEギフトは、幅広い年齢層に利用されていますが、特に20代から40代の女性ユーザーの利用率が高い傾向にあります。友人や家族への誕生日プレゼント、職場でのお礼やお祝い、遠方に住む親へのギフトなど、日常的なコミュニケーションの延長として使われるケースが多く見られます。

　また、相手の住所を知らない関係性でも気軽に贈れる仕組みが支持されており、SNSで知り合った友人やオンラインコミュニティのメンバー、リモートワーク環境での同僚など、現代的な人間関係にもマッチしています。500円から3,000円程度の手軽な価格帯の商品が多く、ちょっとしたお礼や感謝の気持ちを伝える手段として日常的に使われています。

　利用シーンとしては、以下のような場面が代表的です。

• 友人や恋人の誕生日プレゼント
• 職場の同僚や上司へのお礼
• 遠方に住む家族への季節の贈り物
• オンラインで知り合った友人へのサプライズ
• 結婚や出産などのお祝い
• ちょっとした感謝の気持ちを伝えるプチギフト

　さらに最近では、企業が従業員や取引先へのインセンティブやノベルティとしてLINEギフトを活用するケースも増えています。デジタルチケット形式のeギフトは即座に配信でき、受取側も手軽に利用できるため、キャンペーンや販促施策にも適しています。

　このように、LINEの圧倒的なユーザー基盤を背景に、カジュアルなギフト文化を支えるプラットフォームとして、LINEギフトは多様なシーンで活用されています。
　出店事業者にとっては、これまでリーチできなかった「ギフト需要」という新しい市場にアクセスできる貴重なチャンスとなります。

2. LINEギフト出店のメリットと狙い

2-1. 圧倒的なユーザーリーチ

　LINEギフトの最大の強みは、LINEアプリの国内月間アクティブユーザー数約9,500万人という圧倒的なユーザー基盤にあります。日本国内でのLINE利用率は90%を超えており、年齢層も10代から60代以上まで幅広く分布しています。

　通常のECサイトでは、まずユーザーに自社サイトを認知してもらい、訪問してもらう必要があります。しかしLINEギフトでは、ユーザーが日常的に使用しているLINEアプリ内で商品を表示できるため、新規顧客との接点を自然に作り出すことができます。

　特に注目すべきは、LINEのトーク画面から直接ギフトを送れる手軽さです。友人や家族とのコミュニケーションの流れの中で自然に商品を選び、贈ることができるため、ギフト需要を効果的に取り込めます。

2-2. ブランド認知・販路拡大につながる理由

　LINEギフトへの出店は、単なる販売チャネルの追加以上の効果を出します。まず、これまで自社の商品を知らなかった潜在顧客層へのブランド露出機会が大きく増えます。

　LINEギフトでは、ユーザーが「誕生日」「お礼」「お祝い」といったシーン別に商品を探すことが多く、このタイミングで自社商品が目に留まれば、新規顧客の獲得につながります。また、ギフトを受け取った人が商品を気に入れば、その人が次回の購入者になる可能性もあります。
　これまでの広告やプロモーションでは、ブランド認知を高めるために多額の費用が必要でした。しかしLINEギフトでは、プラットフォーム内での商品露出により自然な形でブランド認知を広げられるため、費用対効果の高いマーケティング施策として機能します。

　さらに、LINEギフトで購入された商品には、贈り主から受取人へのメッセージが添えられることが多く、商品が「特別な贈り物」として認識されます。この体験が、ブランドに対する好意的なイメージ形成につながり、長期的な顧客ロイヤルティの向上にも寄与します。

2-3. Yahoo!ショッピング等との連携で広がる出店機会

　LINEギフトの出店方法には複数のルートがあり、そのうちの一つが既存のYahoo!ショッピング店舗との連携による出店です。すでにYahoo!ショッピングに出店している事業者であれば、既存の商品データや在庫管理システムを活用しながら、比較的スムーズにLINEギフトへの展開が可能です。

　この連携により、以下のようなメリットが得られます。

• 既存の商品登録情報を流用できるため、出店準備の手間が軽くなる
• 在庫管理を一元化でき、複数チャネルでの販売効率が上がる
• Yahoo!ショッピングとLINEギフトの両方で販売機会を得られる
• それぞれのプラットフォームの強みを活かした販売戦略が立てられる

　Yahoo!ショッピングは価格比較や商品検索を目的としたユーザーが多いのに対し、LINEギフトはギフト用途に特化しています。この違いを理解して活用することで、同じ商品でも異なる顧客層にアプローチできるのが大きなメリットです。
　また、LINEギフトは楽天市場やその他のECプラットフォームとも連携の可能性があり、今後さらに出店機会が広がることが期待されています。複数のチャネルを組み合わせることで、販路を広げることとリスク分散を同時に実現できます。

　ただし、各プラットフォームごとに手数料体系や運用ルールが違うため、出店前に収益シミュレーションを行い、自社にとって最適な出店形態を選択することが大切です。

3. LINEギフト出店のやり方・申請手順

3-1. LINEギフト出店申込の流れ

　LINEギフトへの出店は、Yahoo!ショッピングを経由する方法が一般的です。LINEギフトは、Yahoo!ショッピングに出店している店舗の商品を掲載する仕組みとなっているため、まずYahoo!ショッピングへの出店が前提条件となります。

　出店申込の基本的な流れは以下の通りです。

　Yahoo!ショッピングへの出店が完了していれば、LINEギフトへの掲載申請自体は比較的シンプルな手続きで完了します。ただし、商品がLINEギフトの掲載基準を満たしているかどうかの審査があるため、事前に商品情報や画像の準備を整えておく必要があります。

　また、LINEギフトでは定期的にキャンペーンや特集企画が実施されるため、掲載後も運営側とのコミュニケーションを保ち、販促のチャンスを逃さないようにすることが売上拡大のポイントです。

3-2. 必要な準備・書類・情報

　LINEギフトへの出店にあたっては、Yahoo!ショッピング出店時に必要となる書類や情報を事前に整えておくことが大切です。出店申込時に求められる主な準備物は以下の通りです。

　特に商品画像については、LINEギフトの特性上、スマートフォンの小さな画面でも魅力が伝わるような視覚的に訴求力の高い画像を用意することが大切です。背景が白抜きで商品が際立つ画像、用途やシーンがイメージできるライフスタイル画像など、複数のパターンを準備しておくと審査通過率が高まります。

　また、LINEギフトはギフト利用を前提としたサービスであるため、ギフトラッピングやメッセージカードの対応可否、のし対応の有無なども商品情報として明記しておくと、ユーザーの購買判断を後押しできます。

　食品や化粧品など、特定のカテゴリに該当する商品を扱う場合は、食品衛生法や薬機法に基づく許認可や届出が必要になる場合があります。該当する事業者は、事前に必要な手続きを完了させ、関連書類を準備しておきましょう。

3-3. LINEギフト出店後の管理・商品更新の基本

　LINEギフトへの出店が完了し商品掲載が始まった後も、継続的な管理と更新作業が必要です。Yahoo!ショッピングの管理画面であるストアクリエイターProを通じて、日常的な運用を行います。

　出店後の主な管理業務には以下のようなものがあります。

　LINEギフトでは、母の日、父の日、クリスマス、バレンタインなどの季節イベントに合わせた特集ページが組まれることが多く、これらのタイミングに合わせて商品ラインナップや訴求内容を最適化することが売上向上につながります。

　商品更新の際には、検索キーワードを意識した商品名や説明文の設定が重要です。ユーザーがどのような言葉で検索するかを想定し、「プレゼント」「ギフト」「お祝い」「内祝い」といった関連キーワードを自然に盛り込むことで、検索結果での表示機会が増えます。

　また、LINEギフトの管理画面では、商品ごとの閲覧数や購入率などのデータを確認できます。パフォーマンスが低い商品については、画像や説明文の見直し、価格の再設定などの改善施策を定期的に実施することで、全体の売上効率を高めることができます。

　配送面では、ギフト用途であることを踏まえ、指定日配送への対応や丁寧な梱包、メッセージカードの同梱など、贈り物としての品質を保つ運用体制を整えることが顧客満足度の向上につながります。特に繁忙期には配送遅延が発生しやすいため、余裕を持ったリードタイムの設定や配送業者との連携強化が求められます。

4. 出店前に知っておきたい注意点

4-1. 審査・手数料・コストの注意点

　LINEギフトへの出店には、プラットフォーム側による審査が存在します。審査では、販売する商品の品質や企業の信頼性、配送体制などが確認されます。特に食品や化粧品などの取り扱いでは、必要な許認可や製造管理の体制が整っているかどうかが重視されます。審査に通過するためには、事前に自社の販売体制を整え、必要な書類を漏れなく準備することが求められます。

　また、LINEギフトの出店には手数料が発生します。手数料の体系はプラットフォームごとに異なりますが、一般的には販売手数料や決済手数料、場合によっては月額利用料などが設定されています。以下の表に、主な手数料項目をまとめました。

　手数料の詳細は出店形態や連携するECモールによって変動するため、申請前に必ず最新の料金体系を確認し、利益率をシミュレーションしておくことが大切です。特に薄利多売の商品を扱う場合には、手数料が利益を圧迫しないかを慎重に見極める必要があります。

　さらに、配送コストや梱包資材費、顧客対応にかかる人件費なども考慮に入れましょう。LINEギフトでは、ユーザーが贈り物として購入するケースが多いため、梱包の品質や配送スピードが顧客満足度に直結します。コスト管理と品質のバランスを取ることが、長期的な運営には欠かせません。

4-2. 商品カテゴリ・シーン別の選び方

　LINEギフトでは、贈答用途で購入されることを前提としたサービス設計になっています。そのため、出店する商品は贈り物として喜ばれるかどうかという視点で選定することが成功の鍵となります。自社商品をそのまま出品するのではなく、ギフト需要に合わせた商品構成を考えることが求められます。

　以下の表に、LINEギフトで人気の高い商品カテゴリと、それぞれの選定ポイントをまとめました。

　商品選定にあたっては、贈るシーンを具体的にイメージすることも大切です。たとえば、誕生日や記念日といった特別な日には高価格帯の商品が選ばれやすく、日常的な感謝の気持ちを伝える場合には手頃な価格帯のものが好まれます。また、季節ごとのイベント(バレンタイン、母の日、クリスマスなど)に合わせた商品ラインナップを用意することで、購買機会を増やすことができます。

　加えて、商品説明や画像の質にも注意が必要です。LINEギフトのユーザーは、実物を見ずに購入するため、商品の魅力が伝わる写真や詳細な説明文が購入の決め手となります。ギフトとして贈りたくなるような演出や、受け取る人が喜ぶポイントを明確に示すことが、購入率を高める上で重要です。

　また、商品によっては配送方法に制約が生じる場合があります。冷蔵・冷凍が必要な食品や、割れ物などは配送コストが高くなりやすく、配送可能なエリアも限定される可能性があります。事前に配送パートナーとの調整を行い、スムーズな配送体制を整えておくことが求められます。

　さらに、ギフト需要は季節や社会情勢によって変動します。市場のトレンドや消費者のニーズを定期的に分析し、商品ラインナップを柔軟に見直すことで、競合との差別化を図ることができます。出店後も継続的に商品の売れ行きをチェックし、改善を重ねる姿勢が成功につながります。

5. まとめ：LINEギフト出店で新しい販売チャンスを広げましょう

　LINEギフトは、月間9,500万人以上が利用するLINEのプラットフォームを活用した、強力な販売チャネルです。通常のECサイトやモールとは異なり、SNSのコミュニケーション上で自然に贈り物が選ばれる仕組みのため、新規顧客との接点を大きく広げることができます。

　出店のメリットは、圧倒的なユーザーリーチだけではありません。ブランド認知の向上、販路拡大、Yahoo!ショッピングとの連携による相乗効果など、多角的なビジネスチャンスが期待できます。特にギフト需要が高まる誕生日や記念日、季節イベントのタイミングでは、大きな売上増加が見込めるでしょう。

　LINEギフトは、既存の販売チャネルに加えて新たな顧客層にアプローチできる有力な選択肢です。この記事で解説した仕組み、メリット、申請手順、注意点を参考に、あなたのビジネスに合った形でLINEギフト出店を検討してみてください。