目次
GA4とサーチコンソールの違い
GA4(Googleアナリティクス4)とGoogleサーチコンソールは、どちらもGoogleが公式に提供する無料のアクセス解析ツールですが、その役割と分析できる領域は明確に異なります。ウェブサイトのパフォーマンスを最大化するためには、まずこの2つのツールの本質的な違いを理解することが重要です。
端的に言えば、サーチコンソールは「ユーザーがサイトに流入する前」の検索エンジンにおける動向を分析するツールであり、GA4は「ユーザーがサイトに流入した後」のサイト内での行動を分析するツールです。この違いを把握することで、両者を効果的に使い分け、連携させることの価値が見えてきます。
GA4とサーチコンソールの役割の違い
GA4とサーチコンソールの役割は、ユーザーが検索エンジンで情報を探し、あなたのサイトを訪れ、目的を達成するまでの一連の行動フローにおいて、担当するフェーズが異なります。それぞれのツールがどのようなデータを提供し、何を目的としているのかを下の表で確認しましょう。
| 項目 | GA4(Googleアナリティクス4) | Googleサーチコンソール |
|---|---|---|
| 主な役割 | サイト訪問後のユーザー行動の可視化 | サイト訪問前の検索パフォーマンスの可視化 |
| 分析対象 | サイトやアプリにアクセスした後のユーザー行動 | Google検索結果における自社サイトの表示状況(アクセス前) |
| 主な指標 |
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| 主な目的 |
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このように、サーチコンソールが「集客」の入り口である検索エンジンでのパフォーマンスを分析するのに対し、GA4はその集客によってサイトを訪れたユーザーが、どのように行動し、成果につながったのかを分析するツールです。両者は車の両輪のような関係であり、片方だけではウェブサイトの全体像を正確に把握することはできません。
どちらを優先して使うべきか
「GA4とサーチコンソール、どちらを優先して使えばいいのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、結論から言うと、どちらか一方を優先するのではなく、目的応じて使い分け、最終的には両方を連携させて活用することが最も効果的です。
ただし、取り組む課題やフェーズによって、どちらのツールを主軸にデータを見るべきかは異なります。具体的なシーン別に使い分けの例を見てみましょう。
- SEOの改善点を探したい場合:サーチコンソールを優先
「どのような検索キーワードでサイトが表示されているか」「表示回数は多いのにクリックされていないページはどれか」「検索順位が下落しているキーワードはないか」といった、検索結果におけるパフォーマンスを改善したい場合は、まずサーチコンソールのデータを確認します。SEOの課題発見の起点となるのはサーチコンソールです。 - サイト内の回遊率やコンバージョン率を改善したい場合:GA4を優先
「特定のランディングページからの直帰率が高い」「ユーザーがどのページで離脱しているのか」「コンバージョンに至るユーザーはどのような行動をとっているのか」など、サイト訪問後のユーザー行動を分析し、サイトそのものを改善したい場合はGA4が中心となります。UI/UXの改善やコンテンツの質を評価する際に役立ちます。
このように、目的によって見るべきツールは異なります。しかし、例えば「サーチコンソールでクリック率の低いページを見つけ、GA4でそのページのコンテンツや導線を改善する」といったように、両者のデータを掛け合わせることで、より精度の高い分析と施策立案が可能になります。そのため、優先順位を考えるよりも、両者を常に行き来しながら分析する習慣をつけることが理想的と言えるでしょう。
GA4×サーチコンソールの活用メリット|連携で何ができる?
GA4(Googleアナリティクス4)とサーチコンソールを連携させると、それぞれ単体で利用するよりもはるかに深いサイト分析が可能になります。GA4は「ユーザーがサイトにアクセスした後の行動」を、サーチコンソールは「ユーザーがサイトにアクセスする前の検索行動」を計測するツールです。この二つを結びつけることで、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力してから、サイト内でコンバージョンに至るまでの一連の流れを可視化できるようになり、データに基づいた的確なSEO施策を展開できます。
具体的にどのようなメリットがあるのか、連携によって可能になる4つのポイントを詳しく解説します。
検索流入の質を正確に把握できる
GA4とサーチコンソールを連携する最大のメリットは、自然検索による流入の「質」を正確に評価できるようになる点です。サーチコンソールだけでは、どのキーワードでどれくらいのクリックがあったかは分かりますが、そのユーザーがサイト訪問後にどのような行動を取ったかまでは追跡できません。一方で、GA4だけでは自然検索からの流入セッションは分かりますが、具体的な検索キーワード(検索クエリ)のほとんどが「(not provided)」と表示され、詳細な分析が困難です。
連携を行うことで、GA4のレポート上で「どの検索クエリで流入したユーザーが、高いエンゲージメントを示し、コンバージョンに至ったか」を明確に把握できます。例えば、「サービス名 料金」というキーワードで流入したユーザーのコンバージョン率が高いと分かれば、そのキーワードでの上位表示を目指す施策の優先度を高める、といった具体的なアクションプランを立てることが可能になります。
ランキング・クリック数・CVデータの紐付け
連携により、サーチコンソールが計測する「検索パフォーマンスデータ」と、GA4が計測する「サイト内行動データ」を一つのレポート上で紐付けて分析できます。これにより、SEOの成果が事業の成果にどれだけ結びついているかを定量的に判断できるようになります。
具体的には、以下のような指標を掛け合わせて分析できます。
| データソース | 分析できる指標の例 |
|---|---|
| サーチコンソール | Googleオーガニック検索クエリ、平均掲載順位、表示回数、クリック数、クリック率(CTR) |
| GA4 | セッション数、エンゲージメント率、イベント数、コンバージョン数、総収益 |
この紐付けによって、「検索順位は高いものの、サイトの収益にはあまり繋がっていないページ」や、逆に「検索順位は低いが、コンバージョン率が非常に高いお宝キーワード」などを発見できます。これらの情報は、リソースをどこに集中させるべきかを判断する上で極めて重要なデータとなります。
コンテンツ改善の優先順位が明確になる
データが統合されることで、改善すべきコンテンツとその方向性が明確になり、効果的なリライトや新規コンテンツ作成の優先順位をデータドリブンで決定できます。よくある課題と、その分析例は以下の通りです。
- 課題1:表示回数は多いがクリック率(CTR)が低い
ユーザーの検索結果画面には表示されているものの、クリックされていない状態です。原因として、タイトルやディスクリプション(説明文)がユーザーの興味を引けていない可能性が考えられます。より魅力的で、クリックしたくなるような文言に修正することで、CTRの改善が期待できます。 - 課題2:クリック数は多いがエンゲージメント率が低い、またはコンバージョンしない
多くのユーザーをサイトに呼び込めてはいるものの、すぐに離脱されている状態です。コンテンツの内容がユーザーの検索意図とずれている、あるいはサイトの使い勝手が悪く、次の行動に移れない可能性があります。コンテンツの構成を見直したり、CTA(行動喚起)ボタンの配置を改善したりする施策が有効です。 - 課題3:コンバージョン率は高いが表示回数や順位が低い
一部のユーザーからは高い評価を得ているものの、そもそも検索結果に表示される機会が少ない状態です。これは大きな機会損失を示唆しており、該当キーワードに対するSEOを強化することで、サイト全体のコンバージョン数を大きく伸ばせる可能性があります。
GA4では見れないSEOデータをカバー
GA4は優れたアクセス解析ツールですが、それ自体はSEOに特化したツールではありません。そのため、検索エンジンにおけるサイトのパフォーマンスを直接的に測る指標は持っていません。
サーチコンソールと連携することで、GA4の管理画面に「検索クエリ」や「Googleオーガニック検索レポート」といった専用のレポートが追加されます。これにより、GA4を離れることなく、検索順位や表示回数、CTRといったSEOに直結する重要なデータを確認できるようになります。分析のたびにツールを切り替える手間が省け、GA4の持つ豊富なセグメント機能と組み合わせることで、「スマートフォンからの検索流入におけるCTR」といった、より深く、多角的な分析をスムーズに行えるようになります。
GA4とサーチコンソールの連携方法(Search Consoleリンク設定)
GA4とサーチコンソールを連携させることで、SEO分析の精度は飛躍的に向上します。連携設定は数ステップで完了しますが、正しいプロパティを選択するなど、いくつか注意すべき点があります。この章では、GA4の管理画面からサーチコンソールを連携する具体的な手順から、データが正常に表示されない場合の対処法まで、図解のように分かりやすく解説します。
GA4管理画面からの連携手順
GA4とサーチコンソールの連携は、GA4の管理画面から行います。設定を始める前に、GA4プロパティの「編集」権限と、連携したいサーチコンソール プロパティの「確認済みサイト所有者」権限を持っていることを確認してください。権限がない場合は、管理者に追加を依頼する必要があります。
以下の手順に沿って設定を進めましょう。
- GA4にログインし、画面左下の「管理」(歯車アイコン)をクリックします。
- アカウント列とプロパティ列が表示されます。対象のプロパティが選択されていることを確認し、プロパティ列の中ほどにある「サービスとのリンク」セクションまでスクロールします。
- 「Search Consoleのリンク」をクリックします。
- Search Consoleのリンク設定画面が表示されたら、右上の青い「リンク」ボタンをクリックします。
- 「リンクを作成」の画面に遷移します。「Search Console プロパティを選択」の項目で、「管理しているSearch Consoleプロパティを選択」のリンクをクリックします。
- 自分が所有者として確認済みのサーチコンソール プロパティ一覧が表示されます。連携したいプロパティにチェックを入れ、右上の「確認」ボタンをクリックします。
- 次の画面で「ウェブストリームを選択」の項目に進みます。「選択」をクリックし、対象サイトのウェブストリームを選択します。
- 最後に、選択したサーチコンソール プロパティとウェブストリームが正しいことを確認し、「送信」ボタンをクリックすれば連携は完了です。
正常に完了すると、「リンク作成済み」というメッセージが表示され、設定画面に連携したプロパティの情報が追加されます。
プロパティの選び方
連携設定で特に注意したいのが、サーチコンソールのプロパティ選択です。サーチコンソールには「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックスプロパティ」の2種類があり、分析したい範囲に応じて適切なプロパティを選ぶ必要があります。
基本的には、サイト全体のデータを網羅できる「ドメインプロパティ」での連携が推奨されます。それぞれの特徴は以下の通りです。
| プロパティの種類 | 特徴 | 推奨されるケース |
|---|---|---|
| ドメインプロパティ | http/httpsやwwwの有無、サブドメインを含めたドメイン全体のデータを統合して計測できます。DNSレコードによる所有権確認が必要です。 | サイト全体の検索パフォーマンスを分析したい場合。特別な理由がない限り、こちらを選択することをおすすめします。 |
| URLプレフィックスプロパティ | 指定したURL(プロトコル、wwwの有無を含む)から始まるページのみを計測対象とします。例えば、「https://www.example.com/blog/」で登録した場合、その配下のページのみが分析対象となります。 | サイト内の一部(特定のサブドメインやディレクトリ)のみを切り出して分析したい場合や、DNSレコードを編集できない場合。 |
GA4プロパティが計測している対象範囲と、サーチコンソールのプロパティがカバーする範囲を一致させることが、正確な分析の鍵となります。
Search Consoleレポートの開き方
連携が完了すると、GA4のレポート画面でサーチコンソールのデータを確認できるようになります。ただし、データがGA4に反映されるまでには最大で48時間ほどかかる場合があります。連携後すぐにデータが表示されなくても、少し時間をおいてから再度確認してください。
レポートは以下の手順で開くことができます。
- GA4の左側ナビゲーションメニューから「レポート」をクリックします。
- 「ライフサイクル」セクション内の「集客」を展開します。
- 「集客サマリー」の下に「Search Console」という項目が自動で追加されていますので、これをクリックします。
「Search Console」レポートコレクションには、デフォルトで「クエリ」と「Googleオーガニック検索のランディングページ」の2つのレポートが含まれています。これらのレポートを見ることで、どの検索キーワードで、どのページにユーザーが流入しているのかをGA4上で直接分析できます。
データが表示されない場合の確認ポイント
「連携設定は完了したはずなのに、いつまで経ってもレポートにデータが表示されない」という場合は、いくつかの原因が考えられます。以下のチェックリストを参考に、設定を見直してみてください。
| 確認ポイント | 詳細と対処法 |
|---|---|
| 必要な権限はありますか? | 連携操作には、GA4の「編集」権限とサーチコンソールの「所有者」権限の両方が必要です。どちらかの権限が不足していると、リンクは作成できてもデータが正しく表示されないことがあります。権限レベルを再度確認してください。 |
| 連携プロパティは正しいですか? | GA4のウェブストリームで設定されているURLと、連携したサーチコンソールのプロパティが対象としているURLが一致しているか確認します。特に、httpとhttps、wwwの有無が異なっているケースがよく見られます。 |
| 連携から48時間以上経過しましたか? | 前述の通り、データの反映には最大48時間かかります。連携直後はデータが表示されないのが正常です。しばらく待ってから再度アクセスしてみてください。 |
| サーチコンソール側にデータはありますか? | 開設したばかりの新規サイトなど、そもそもサーチコンソールに検索パフォーマンスデータが蓄積されていない場合、GA4にもデータは表示されません。まずサーチコンソールの管理画面でデータが存在するかを確認しましょう。 |
| レポートは公開されていますか? | 何らかの理由でSearch Consoleレポートが非公開になっている可能性があります。GA4の「レポート」>「ライブラリ」から、「Search Console」コレクションが「公開」状態になっているか確認してください。もし非公開であれば、公開設定に変更します。 |
これらの点を確認しても問題が解決しない場合は、一度リンクを解除し、再度設定し直すことで解消されることもあります。
GA4×サーチコンソールでSEOを改善する具体的な分析手順
GA4とサーチコンソールを連携させると、これまで別々に見ていたデータを掛け合わせて、より深く、実践的なSEO分析が可能になります。ここでは、連携データを活用してWebサイトのパフォーマンスを改善するための具体的な分析手順を4つのステップに分けて解説します。
分析の基本となるのは、GA4の左側メニュー「レポート」内にある「集客」セクションの「Search Console」レポートです。このレポートを起点に、さまざまな角度から改善のヒントを見つけ出していきましょう。
どのキーワードがCVにつながっているかを分析
Webサイトの最終的な目標であるコンバージョン(CV)に、どの検索キーワードが結びついているかを把握することは、SEO戦略の根幹をなします。収益性の高い「お宝キーワード」を発見し、そのキーワードでの評価をさらに高めるための施策を打ちましょう。
手順は以下の通りです。
- GA4の「レポート」 > 「集客」 > 「Search Console」 > 「クエリ」レポートを開きます。
- デフォルトでは表示されていないCV関連の指標を追加するため、レポート右上の鉛筆マーク(レポートをカスタマイズ)をクリックします。
- 「指標」を選択し、「指標を追加」から「コンバージョン」「セッションのコンバージョン率」など、分析したい指標を追加して「適用」をクリックします。
- レポートに戻り、テーブルの「コンバージョン」列をクリックして降順に並べ替えます。
この操作により、コンバージョン獲得数が多いキーワードの順にリストが表示されます。このデータから、以下のようなインサイトを得て、次の一手を考えます。
- コンバージョン数は多いが、平均掲載順位が低い(例: 5位以下)キーワード:
これらのキーワードは、現状の順位でも成果が出ている非常にポテンシャルの高いキーワードです。対象ページのコンテンツをリライトして情報量を増やしたり、関連ページからの内部リンクを強化したりすることで、さらなる順位上昇とコンバージョン数の増加が期待できます。 - クリック数は少ないが、コンバージョン率が高いキーワード:
検索ボリュームは小さいかもしれませんが、ユーザーの検索意図とコンテンツが合致しており、非常に確度の高いキーワードといえます。このキーワードを軸にした深掘り記事や関連コンテンツを作成し、サイト全体の専門性を高める戦略が有効です。
ランディングページ別の流入&成果を可視化
ユーザーが検索エンジンから最初に訪れるランディングページは、サイトの「顔」ともいえる重要なページです。どのページがSEO経由でユーザーを集め、成果につなげているかを可視化することで、サイト全体の強みと弱みを正確に把握できます。
分析には、GA4の「Search Console」レポートコレクションにある「Googleオーガニック検索トラフィック」レポートを使用します。
- プライマリディメンションが「ランディングページ + クエリ文字列」になっていることを確認します。
- 「セッション」「エンゲージメント率」「コンバージョン」といった指標を確認し、ページごとのパフォーマンスを評価します。
- さらに深く分析するために、表の「+」ボタンからセカンダリディメンションとして「セッションの参照元 / メディア」ではなく、「セッション手動広告クエリ」(※編集注:GA4のバージョンにより名称が異なる場合があります。Search Consoleのクエリに関連するディメンションを選択)を追加します。これにより、ページごとに「どのキーワードで流入しているか」を詳細に把握できます。
このレポートからは、以下のような改善の糸口が見つかります。
- オーガニック検索セッションは多いが、コンバージョンが少ないページ:
集客には成功していますが、ユーザーの期待に応えられていない可能性があります。ページの構成やデザインを見直したり、CTA(Call To Action:行動喚起)ボタンの配置や文言を改善したりするなどの対策が考えられます。 - エンゲージメント率は高いが、セッション数が少ないページ:
コンテンツの質は高く、訪問したユーザーを惹きつけているものの、そもそも検索結果での露出が少ない状態です。狙っているキーワードでの順位が低いことが原因であるため、リライトや関連キーワードの追加によるSEO強化が必要です。
パフォーマンス悪化時の原因特定
Webサイトを運営していると、オーガニック検索からの流入数が急に減少することがあります。このようなパフォーマンス悪化時には、GA4とサーチコンソールの連携データを使って、迅速に原因を特定し、的確な対応を取ることが重要です。
まずはGA4のSearch Consoleレポートで、レポート右上の日付範囲をクリックし、「比較」をオンにして「前の期間」などと比較する設定を行います。これにより、数値が悪化したページやクエリを特定しやすくなります。
数値の悪化が見られた場合、その原因は一つとは限りません。複数の要因を視野に入れ、冷静に切り分けていくことが解決への近道です。主な現象と、考えられる原因・対策を以下の表にまとめました。
| 現象 | 考えられる主な原因 | 確認すべきこと・場所 | 対策の例 |
|---|---|---|---|
| CTR(クリック率)が低下 (表示回数は変化なし) | ・競合サイトのタイトルやスニペットが魅力的になった ・検索結果に強調スニペットや動画などが表示されるようになった | ・実際の検索結果画面 ・GA4のクエリレポート | ・タイトルタグやメタディスクリプションの修正 ・構造化データを実装しリッチリザルト表示を狙う |
| 掲載順位が低下 (表示回数・クリック数も低下) | ・Googleのコアアルゴリズムアップデート ・競合サイトが質の高いコンテンツを公開した ・コンテンツの品質が相対的に低下した | ・GA4のクエリ/ページレポート ・競合サイトの分析 ・SEO関連ニュース | ・コンテンツの大幅なリライト、情報の最新化 ・被リンクや内部リンクの強化 |
| 表示回数が大幅に低下 (サイト全体または一部) | ・インデックスに関する技術的な問題(noindexなど) ・Googleからのペナルティ ・キーワードの検索需要そのものが減少した | ・サーチコンソール本体のカバレッジレポートやメッセージ ・Googleトレンド | ・技術的SEOの修正(robots.txt、サイトマップなど) ・ペナルティの要因解消と再審査リクエスト |
クリック率(CTR)改善のための分析方法
検索順位が同じでも、クリック率(CTR)が高ければ、より多くのユーザーをサイトに呼び込むことができます。特に、検索順位が1ページ目(10位以内)に表示されているにもかかわらずCTRが低いページは、改善効果が出やすい「伸びしろ」のある領域です。
以下の手順で、改善対象となるキーワードとページを見つけ出しましょう。
- GA4の「クエリ」レポートを開きます。
- レポート上部の「フィルタを追加」をクリックします。
- ディメンションで「平均掲載順位」、マッチタイプで「次以下(<=)」を選択し、値に「10」と入力します。これで10位以内のキーワードに絞り込めます。
- さらにフィルタを追加し、ディメンションで「Search Consoleのクリック率」、マッチタイプで「次以下(<=)」を選択し、サイトの平均CTRなどを参考に基準値(例: 0.03 = 3%)を入力します。
- 表示されたキーワードリストが、CTR改善の優先度が高い候補となります。
改善対象のキーワードが見つかったら、実際にそのキーワードで検索し、自サイトが検索結果でどのように表示されているかを確認します。その際、競合上位サイトのタイトルや説明文(メタディスクリプション)と比較し、なぜ自サイトがクリックされていないのかを分析します。
- タイトルタグの改善:キーワードを含めつつ、ユーザーが「自分のための情報だ」と感じるような具体的な数字や便益(例:「5つの簡単なステップ」「初心者でも安心」)を盛り込みます。
- メタディスクリプションの改善:ページの要約を記述するだけでなく、ユーザーがクリックしたくなるような、続きを読みたくなるような魅力的な文章を作成します。
これらの施策は、地道な作業ですがトラフィックの増加に直結します。定期的にCTRを確認し、A/Bテストを繰り返しながら最適化していくことが成功の鍵です。
GA4とサーチコンソールのデータ差分はなぜ起きる?
GA4とサーチコンソールのレポートを見比べた際、「クリック数とセッション数が合わない」「ユーザー数が違う」といったデータの差分に気づくことがあります。これはどちらかのツールの不具合ではなく、両者のデータ計測の仕組みや指標の定義が根本的に異なるために発生する、いわば当然の現象です。この違いを理解しないまま分析を進めると、誤った結論を導きかねません。ここでは、データに差分が生まれる主な理由と、それを踏まえた正しいデータの見方について解説します。
計測ロジックの違い
GA4とサーチコンソールでデータに差分が生じる最も大きな理由は、それぞれのツールが持つ役割と、それに伴うデータ計測の基本的な考え方(ロジック)が異なる点にあります。GA4は「サイト訪問後のユーザー行動」を、サーチコンソールは「サイト訪問前の検索エンジン上でのパフォーマンス」を計測するためのツールです。収集するデータの源泉が全く違うため、数値が完全に一致することはありません。
両者の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | GA4(Googleアナリティクス4) | Googleサーチコンソール |
|---|---|---|
| 主な目的 | Webサイトやアプリにアクセスした後のユーザー行動の分析 | Google検索結果におけるWebサイトのパフォーマンス分析 |
| データ収集の場所 | ユーザーのブラウザ(Webサイト上) | Googleのサーバー(Google検索結果上) |
| データ収集の方法 | Webサイトに設置されたトラッキングコード(JavaScript)がユーザーの行動を計測 | Google検索エンジンがユーザーの検索行動(表示・クリックなど)を記録 |
| 主な指標 | セッション、エンゲージメント、コンバージョン、表示回数(ページビュー)など | クリック数、表示回数(インプレッション)、CTR(クリック率)、掲載順位など |
このように、GA4は自社サイト内での出来事を記録し、サーチコンソールはGoogle検索というプラットフォーム上での出来事を記録します。この根本的な違いが、これから解説する様々な差分の原因となります。
クロールとトラッキングの違い
データの収集プロセスにも大きな違いがあります。サーチコンソールのデータは、Googleのクローラー(Googlebot)がサイトの情報を収集し、検索結果に表示されることで計測が始まります。つまり、Google検索の世界で完結するデータです。
一方、GA4のデータは、ユーザーがサイトにアクセスし、ページに埋め込まれたトラッキングコードが実行されることではじめて計測されます。この「トラッキングコードが実行される」という点が重要で、以下のようなケースではGA4でデータが計測されず、サーチコンソールのクリック数との間に差が生まれます。
- ユーザーのブラウザでJavaScriptが無効になっている場合
- ユーザーがCookieの利用を拒否した場合(同意管理バナーで非同意を選択)
- 広告ブロッカーなどの拡張機能によってGA4のトラッキングがブロックされた場合
- ページの読み込みが完了する前にユーザーが離脱し、トラッキングコードが実行されなかった場合
これらの要因により、サーチコンソールで「クリック」として記録されても、GA4では「セッション」として計測されないケースが発生するため、一般的にGA4のセッション数はサーチコンソールのクリック数よりも少なくなる傾向があります。
セッション計測の仕組み
GA4の「セッション」とサーチコンソールの「クリック」は、似ているようで全く異なる指標です。この定義の違いも、データ差分の大きな要因です。
- サーチコンソールの「クリック」:Google検索結果に表示された自社サイトへのリンクをユーザーがクリックした回数です。非常にシンプルな定義です。
- GA4の「セッション」:ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連の操作を指します。具体的には、操作がないまま30分が経過するか、日付が変わるとセッションは終了し、次の操作は新しいセッションとしてカウントされます。
この定義の違いにより、以下のような状況で数値のズレが発生します。
- 1クリックが複数セッションになるケース:ユーザーが検索結果をクリックしてサイトを訪問し、30分以上何も操作せずに放置した後、再度サイト内でページを閲覧した場合。サーチコンソールのクリックは「1」ですが、GA4では「2」セッションとして計測されます。
- 複数クリックが1セッションになるケース:ユーザーが検索結果ページに戻り、短時間のうちに同じサイトの別のページリンクを再度クリックした場合。サーチコンソールのクリックは「2」ですが、GA4ではタイムアウトしていないため「1」セッションのままです。
- クリックを伴わないセッションが発生するケース:ユーザーが一度サイトを訪問し、ブックマークやURLの直接入力によって再訪問した場合。この訪問はGA4では新規セッションとして計測されますが、Google検索を経由していないため、サーチコンソールのクリックにはカウントされません。
このように、「1クリック = 1セッション」という関係は必ずしも成り立たないことを理解しておく必要があります。
ズレを踏まえた正しい分析方法
GA4とサーチコンソールのデータ差分は、ツールの仕様上、必ず発生するものです。そのため、「どちらの数値が正しいのか」と悩むのではなく、それぞれのデータの特性を理解し、分析の目的に応じて使い分けることが重要です。
基本的な使い分けは以下の通りです。
- 検索パフォーマンスの評価:
「どのようなキーワードで検索結果に表示されているか」「検索結果でのクリック率は高いか」「掲載順位はどうなっているか」といった、サイト流入前のユーザー行動や検索エンジンからの評価を分析する場合は、サーチコンソールのデータを正とします。 - サイト内行動の分析:
「サイトに流入したユーザーがどのページを閲覧しているか」「コンバージョンに至っているか」「直帰せずに回遊しているか」といった、サイト流入後のユーザー行動を分析する場合は、GA4のデータを正とします。
データのズレは問題ではなく、それぞれのツールが異なる側面を映し出している証拠です。両者を連携させることで、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力してから、サイト内でコンバージョンに至るまでの一連の流れを多角的に分析できます。それぞれの指標が持つ意味を正しく理解し、自社のSEO施策やコンテンツ改善に役立てていきましょう。
GA4×サーチコンソールのよくある質問(Q&A)
GA4とGoogleサーチコンソールを連携して活用する上で、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で解説します。ツールの仕様を正しく理解し、日々の分析業務に活かしていきましょう。
Search ConsoleのデータはGA4でどこまで使える?
GA4とサーチコンソールを連携させると、GA4の管理画面に「Search Console」というレポートコレクションが追加されます。このレポートでは、サーチコンソールが計測しているデータの一部を、GA4の指標と組み合わせて確認できます。
具体的には、「オーガニック検索クエリ(ユーザーが検索したキーワード)」と「ランディングページ」の2つの切り口で、以下の指標を閲覧可能です。
- オーガニック検索のクリック数
- オーガニック検索の表示回数
- オーガニック検索のクリック率(CTR)
- オーガニック検索の平均掲載順位
- GA4で計測したユーザー数
- GA4で計測したエンゲージメントセッション数
- GA4で計測したエンゲージメント率
- GA4で計測したイベント数(コンバージョン含む)
ただし、サーチコンソールのすべての機能がGA4で使えるわけではありません。例えば、インデックスカバレッジレポート、サイトマップの送信、手動による対策の確認といった、技術的なSEOに関する機能は、引き続きサーチコンソールの管理画面で直接操作する必要があります。GA4で利用できるのは、あくまで検索パフォーマンスに関するデータの一部と覚えておきましょう。
| 機能・データ | GA4(連携後) | サーチコンソール本体 |
|---|---|---|
| 検索クエリごとのパフォーマンス | ◯ | ◯ |
| ページごとのパフォーマンス | ◯ | ◯ |
| GA4のユーザー行動データとの連携 | ◯ | × |
| インデックスカバレッジレポート | × | ◯ |
| サイトマップ送信・管理 | × | ◯ |
| URL検査ツール | × | ◯ |
| 手動による対策の確認 | × | ◯ |
順位データの活用方法は?
GA4のSearch Consoleレポートで確認できる「平均掲載順位」は、SEO改善のヒントが詰まった重要な指標です。単に順位を眺めるだけでなく、他の指標と掛け合わせて分析することで、具体的なアクションプランを立てられます。
代表的な活用方法は以下の通りです。
クリック率(CTR)が低いキーワード・ページの特定
平均掲載順位は高い(例:10位以内)にもかかわらず、クリック率が低いページは改善の余地が大きいと考えられます。ユーザーが検索結果画面でタイトルやディスクリプション(説明文)を見たものの、クリックする魅力を感じなかった可能性があります。競合サイトのタイトルと比較し、よりユーザーの興味を引く文言に修正することで、クリック数の増加が期待できます。
あと一歩で上位表示できるページの発見
平均掲載順位が11位〜20位あたりに位置するページは、コンテンツのポテンシャルが高いと言えます。これらのページに対して、関連キーワードを追加したり、最新情報に更新したり、内部リンクを増やしたりといったリライト施策を行うことで、検索結果の1ページ目(10位以内)へのランクインを狙えます。優先的にテコ入れすべきページを見つけるために、順位データをフィルターして活用しましょう。
順位下落コンテンツの早期発見
定期的にレポートを確認し、主要キーワードや重要ページの平均掲載順位が大きく下落していないかをチェックします。もし下落が見られた場合、Googleのアルゴリズム変動や競合サイトの動向、自社サイトの技術的な問題などが原因として考えられます。順位変動を早期に察知し、原因を特定して対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。
GA4にキーワードは表示されないの?
GA4を導入しただけでは、ユーザーがどのような検索キーワードでサイトに流入したか、そのほとんどが「(not provided)」と表示され、詳細を確認することはできません。これは、ユーザーのプライバシー保護を目的として、Googleが検索キーワードを暗号化しているためです。
しかし、サーチコンソールと連携設定を行うことで、この問題を解決できます。連携が完了すると、GA4の「集客」レポート内にある「Search Console」レポートで、「クエリ」という項目からオーガニック検索のキーワードを確認できるようになります。
つまり、「GA4単体ではキーワードは見えないが、サーチコンソールと連携すればGA4上でキーワードデータを確認できる」というのが正確な答えです。オーガニック検索流入の分析においてキーワードデータは極めて重要ですので、GA4を導入したら必ずサーチコンソールとの連携を行いましょう。
GA4データとGSCデータはどちらを重視すべき?
GA4とサーチコンソール(GSC)は、それぞれ計測する領域と目的が異なるため、「どちらか一方を重視する」という考え方は適切ではありません。分析の目的に応じて両方のツールを使い分け、連携させて総合的に判断することが重要です。
それぞれのツールを重視すべき場面は、以下のように整理できます。
| ツール | 得意な分析領域 | 重視すべき場面の例 |
|---|---|---|
| Google Search Console (GSC) | サイト流入前のユーザー行動(検索エンジン上でのパフォーマンス) |
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| Google Analytics 4 (GA4) | サイト流入後のユーザー行動(サイト内での振る舞い) |
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簡単に言うと、「検索結果に表示されてからサイトがクリックされるまで」の分析はサーチコンソール、「サイトがクリックされた後」の分析はGA4が中心となります。そして、両者を連携させることで、例えば「特定のキーワードで流入したユーザーは、コンバージョンしやすいのか?」といった、流入前から流入後までを一気通貫した深い分析が可能になるのです。
まとめ:GA4×サーチコンソールを正しく使うとSEO改善が加速
本記事では、GA4とGoogleサーチコンソールの違いから、連携によるメリット、具体的な設定方法、そしてデータを活用した分析手順までを網羅的に解説しました。GA4は「サイト訪問後のユーザー行動」を、サーチコンソールは「サイト訪問前の検索パフォーマンス」を分析するためのツールであり、それぞれに明確な役割があります。
この2つのツールを連携させると、これまで分断されていたデータを一つに統合できます。具体的には、「ユーザーがどのようなキーワードで検索し、どのページに流入し、最終的にコンバージョンに至ったか」という一連の流れを可視化できるようになります。これにより、データに基づいた正確な現状把握が可能になるのです。
連携後のデータを正しく分析すれば、コンバージョンにつながる有望なキーワードを発見したり、クリック率は高いものの成果が出ていないページの改善点を特定したりと、具体的なSEO施策に直結するインサイトを得られます。勘や推測に頼るのではなく、事実に基づいてコンテンツ改善の優先順位を判断できるため、SEO改善のスピードと精度は飛躍的に向上するでしょう。
まだGA4とサーチコンソールを連携していない場合は、ぜひ本記事を参考に設定を進め、Webサイトのパフォーマンスを最大化するための一歩を踏み出してください。
