BLOGFORCLEのブログ

GA4とGoogle広告の連携ガイド|成果を最大化する設定方法・メリットとは

GA4(グーグルアナリティクス4)

  • 2025年11月23日
  • 2025年11月16日

Google広告の費用対効果を最大化するためには、GA4(Googleアナリティクス4)との連携が不可欠です。

GA4の精緻なユーザー行動データをGoogle広告に活用することで、コンバージョン精度を高め、広告成果を飛躍的に向上させることが可能になります。

しかし、実際に連携を進めようとすると「具体的な設定手順がわからない」「連携後の活用方法がイメージできない」「コンバージョン数が合わない」といった課題に直面する方も多いのではないでしょうか。

本記事では、GA4とGoogle広告を連携するメリットから、初心者でも迷わず実践できる設定手順、計測トラブルの対処法、さらには成果を最大化させるオーディエンスの活用術まで、解説します。

連携設定をスムーズに完了させ、広告の自動入札精度やターゲティングを最適化するための具体的な方法がわかりますので、チェックしてみてください。

GA4の分析依頼・代行のご相談はこちら

GA4とGoogle広告の連携メリット|広告成果を最大化する理由

GA4(Googleアナリティクス4)とGoogle広告は、それぞれが非常に高機能なツールですが、両者を連携させることで、その効果を飛躍的に高めることが可能です。連携によって、データの分断を防ぎ、より深く、一貫性のある分析と広告最適化が実現します。なぜ連携が広告成果の最大化につながるのか、具体的な4つのメリットを詳しく解説します。

CVデータをGoogle広告に送り正確な自動入札が可能になる

連携の最も大きなメリットの一つが、Google広告の自動入札の精度を大幅に向上させられる点です。Google広告の自動入札機能は、コンバージョン(CV)データを基に機械学習を行い、CVの可能性が高いユーザーに対して入札を強化します。GA4と連携することで、より質の高いCVデータを自動入札の判断材料として活用できるようになります。

GA4では、ウェブサイト上でのユーザーの多様な行動を「イベント」として柔軟に計測できます。例えば、「特定のページの閲覧」「動画の90%視聴」「資料ダウンロード」といった、購入や問い合わせには直接結びつかないものの、ユーザーの関心度を示す重要な行動をCVとして設定可能です。これらの詳細なデータをGoogle広告にインポートすることで、広告システムは「本当に価値のあるユーザー」をより正確に学習し、広告配信を最適化します。結果として、コンバージョン単価(CPA)の削減や広告費用対効果(ROAS)の改善に繋がります。

オーディエンス活用でリマーケティング強化

GA4で作成した精緻な「オーディエンス」をGoogle広告で活用できることも、連携の強力なメリットです。GA4では、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)よりも高度な条件でユーザーをセグメント分けし、オーディエンスリストを作成できます。

例えば、以下のような具体的な条件に基づいたオーディエンスリストを作成し、Google広告と共有することが可能です。

  • 商品をカートに追加したが、購入には至らなかったユーザー
  • 特定のブログ記事を最後まで読んだユーザー
  • 直近30日間で3回以上サイトを訪問しているが、まだCVしていないユーザー
  • GA4の機械学習が予測する「今後7日以内に購入する可能性が高いユーザー」(予測オーディエンス)

これらのオーディエンスリストを用いてリマーケティング(リターゲティング)配信を行うことで、画一的なアプローチではなく、ユーザーの状況や関心度に合わせた最適な広告を届けられます。また、CVに至った優良顧客のオーディエンスを基に、Google広告で「類似オーディエンス」を作成すれば、新規顧客獲得の効率を大きく高めることも期待できます。

広告別の貢献度分析が可能に

Google広告の管理画面だけでも広告のクリック数やCV数は確認できますが、GA4と連携することで、広告経由でサイトを訪れたユーザーの「その後の行動」まで詳細に分析できます。

「どの広告キャンペーンから来たユーザーのエンゲージメントが高いか」「どのキーワードで流入したユーザーが複数のページを閲覧しているか」といった、広告の「質」を評価するための深い洞察が得られます。これにより、単にCV数だけでなく、ユーザーの行動全体を見て広告の価値を判断できるようになります。

さらに、GA4では「データドリブンアトリビューション(DDA)」という分析モデルが利用できます。これは、CVに至るまでの全てのタッチポイント(広告クリック、自然検索など)が、CV獲得にどれだけ貢献したかを評価するモデルです。ラストクリックだけでは見えなかった間接的な広告効果を可視化し、より正確な予算配分を行うための判断材料を得られます

 

Google広告単体とGA4連携後の分析範囲の違い
分析項目Google広告単体での分析GA4連携後の分析
ユーザー行動の深さ広告クリックやインプレッションが中心サイト内での回遊、滞在時間、スクロール率など詳細な行動まで分析可能
コンバージョンの種類Google広告タグで設定したCVが基本GA4で設定した多様なマイクロコンバージョンも含めて分析可能
アトリビューション分析限定的なモデル(ラストクリックなど)が中心データドリブンアトリビューション(DDA)を活用し、間接効果も評価可能
クロスチャネル分析広告経由のデータに限定される自然検索やSNSなど、他チャネルを含めた横断的な貢献度を分析可能

オフラインデータ統合の精度アップ

オンライン広告の成果は、必ずしもウェブサイト上だけで完結するわけではありません。実店舗への来店や電話での問い合わせ、CRM(顧客管理システム)上で成立した契約など、オフラインでの成果も重要です。

GA4の「Measurement Protocol」という機能を利用すると、こうしたオフラインで発生したデータをGA4にインポートできます。そして、GA4とGoogle広告を連携させることで、オンライン広告がオフラインの成果にどの程度影響を与えたかを計測し、広告の評価に反映させることが可能になります。例えば、「どの広告キャンペーンが店舗への来店予約に繋がっているか」を分析し、オンラインとオフラインを統合した視点で広告戦略を最適化できます。

GA4とGoogle広告の連携方法(ステップ①)|GA4側の連携設定手順

GA4とGoogle広告の連携は、広告運用の成果を飛躍的に向上させるための第一歩です。まずはGA4の管理画面から設定を進めていきます。このステップでは、GA4プロパティとGoogle広告アカウントを正しく接続するための具体的な手順を解説します。設定にはGA4の「編集」権限と、Google広告の「管理者」権限が必要ですので、あらかじめご自身の権限を確認しておきましょう。

GA4管理画面から「リンク」の設定方法

GA4の管理画面を開き、画面の指示に従って操作することで、誰でも簡単に連携設定を完了できます。以下の手順に沿って進めてください。

  1. GA4にログインし、左下の歯車アイコン「管理」をクリックします。
  2. アカウント列とプロパティ列が表示されます。対象のプロパティが選択されていることを確認し、プロパティ列にある「サービス間のリンク」の中から「Google広告とのリンク」を選択します。
  3. 画面右上の青い「リンク」ボタンをクリックします。
  4. 「リンクするGoogle広告アカウントを選択する」という画面が表示されます。「Google広告アカウントを選択」をクリックすると、ご自身が管理者権限を持つGoogle広告アカウントの一覧が表示されます。
  5. 連携したいアカウントにチェックを入れ、右上の「確認」ボタンをクリックします。
  6. 次の画面で設定内容を確認し、右上の「次へ」をクリックします。
  7. 「設定を構成する」画面に移ります。「パーソナライズした広告の有効化」と「自動タグ設定を有効にする」の項目が表示されますので、設定を確認して「次へ」進みます。(各設定の詳細は後述します)
  8. 最後に「確認して送信」画面で、これまでの設定内容に間違いがないか最終確認し、問題がなければ「送信」ボタンをクリックします。

以上でGA4側でのリンクリクエストの送信は完了です。続いて、Google広告側でこのリクエストを承認する作業が必要になります。

自動タグ設定はONにするべきか

連携設定の過程で「自動タグ設定を有効にする」という選択肢が表示されます。これは、Google広告のパフォーマンスをGA4で詳細に分析するために極めて重要な機能です。

自動タグ設定を有効にすると、ユーザーが広告をクリックした際に「gclid」という特別なパラメータがURLの末尾に自動で付与されます。このgclidを通じて、GA4はどのキャンペーン、広告グループ、キーワードがクリックされたのかといった詳細な情報を正確に把握できるようになります。

結論として、特別な理由がない限り、自動タグ設定は必ずONにすることを強く推奨します。手動でUTMパラメータを設定する方法もありますが、自動タグ設定を利用することで、設定の手間を省き、データの計測漏れや不整合のリスクを大幅に減らすことができます。

 

自動タグ設定のON/OFF比較
設定メリットデメリット
ON(推奨)Google広告のクリック、費用、インプレッションなどのデータをGA4に自動でインポートできる。手動でのパラメータ設定が不要になり、人為的ミスを防げる。コンバージョンデータの連携精度が向上する。URLが長くなる(例: example.com/?gclid=xxxxx)。一部のウェブサイト設定では互換性の問題が発生する可能性があるが、現代のウェブサイトでは稀。
OFFURLがgclidパラメータで長くなるのを防げる。Google広告の費用やクリック数などの詳細データをGA4で確認できない。コンバージョンを連携させる場合、手動でUTMパラメータを全ての広告に設定する必要があり、非常に手間がかかる。

CV共有のON/OFFの判断基準

「パーソナライズした広告の有効化」という項目は、GA4で収集したデータをGoogle広告での広告配信に活用するかどうかを決める設定です。具体的には、GA4で作成したオーディエンスリストやコンバージョンイベントをGoogle広告に共有し、リマーケティング配信や自動入札の最適化に利用できるようになります。

この設定も、広告の成果を最大化するためにはONにすることが基本となります。GA4の豊富な行動データに基づいて「商品を購入したユーザー」や「カートに商品を入れたが離脱したユーザー」といった精度の高いオーディエンスを作成し、Google広告のリマーケティングに活用することで、広告の費用対効果(ROAS)の改善が期待できます。

ただし、プライバシーポリシーなどの観点から、ウェブサイトの訪問者データを広告配信に利用することを明示していない場合や、特定のデータを広告活用から除外したい場合は、OFFにすることも選択肢となります。自社のポリシーを確認した上で判断しましょう。

GA4で連携できているか確認する方法

リンクリクエストを送信した後、GA4側で正しく連携設定が進行しているかを確認できます。確認手順は以下の通りです。

  1. GA4の「管理」画面を開きます。
  2. プロパティ列の「Google広告とのリンク」をクリックします。
  3. 「リンク済みのGoogle広告アカウント」の一覧に、先ほどリンク設定を行ったGoogle広告のアカウント名とIDが表示されていることを確認します。
  4. ステータスの欄を見ます。Google広告側で承認が完了すると、ステータスが「リンク済み」と表示されます。まだ承認されていない場合は「承認待ち」などと表示されます。

ステータスが「リンク済み」になっていれば、GA4側の設定とGoogle広告側での承認が正常に完了し、データの連携が開始された状態です。データがGA4のレポートに反映されるまでには最大で48時間ほどかかる場合があります。

GA4とGoogle広告の連携方法(ステップ②)|Google広告側の設定手順

GA4側での設定が完了したら、次はGoogle広告の管理画面で連携を承認し、データ活用のための設定を進めます。このステップを正しく行うことで、GA4のデータをGoogle広告の最適化に最大限活かすことができます。ここでは、リンクリクエストの承認から、コンバージョンデータのインポート、自動入札を効果的に機能させるためのポイントまでを具体的に解説します。

リンクリクエストの承認方法

まず、GA4から送信された連携リクエストをGoogle広告側で承認します。この操作を行わないと、アカウント間のデータ共有は始まりません。

手順は以下の通りです。

  1. Google広告の管理画面にログインします。
  2. 画面上部のナビゲーションメニューから「管理」をクリックし、「リンク アカウント」を選択します。
  3. 「リンク済みのアカウントとサービス」の中から、「Googleアナリティクス(GA4)とFirebase」の項目を見つけ、「詳細」をクリックします。
  4. GA4からリクエストが送られている場合、対象のGA4プロパティが一覧に表示されます。ステータスが「受信済み」となっていることを確認してください。
  5. 該当プロパティのアクション列にある「承認」をクリックします。
  6. 確認画面が表示されたら内容を確認し、再度「承認」をクリックして完了です。

承認後、ステータスが「リンク済み」に変わったことを確認しましょう。これで、GA4とGoogle広告のアカウントが正式に接続された状態になります。

GA4コンバージョンをインポートする手順

アカウント連携の大きな目的の一つが、GA4で計測したコンバージョンをGoogle広告にインポートし、広告の成果測定や自動入札に活用することです。以下の手順で、GA4のコンバージョンイベントをGoogle広告に取り込みましょう。

  1. Google広告の管理画面上部にある「目標」をクリックし、ドロップダウンメニューから「コンバージョン」を選択します。
  2. コンバージョン概要ページで、「+新しいコンバージョンアクション」ボタンをクリックします。
  3. 「どのアクションをトラッキングしますか?」という画面で、「インポート」を選択します。
  4. データソースとして「Googleアナリティクス4 プロパティ」を選び、次に「ウェブ」を選択して「続行」をクリックします。
  5. GA4でコンバージョンとして設定されているイベントの一覧が表示されます。この中から、Google広告の最適化に使用したいイベントを選択し、「インポートして続行」をクリックします。
  6. インポートが完了すると、コンバージョンアクションの一覧にGA4からインポートしたイベントが追加されます。「完了」をクリックして画面を閉じます。

インポートしたコンバージョンアクションは、必要に応じて設定の編集が可能です。例えば、コンバージョン名やカウント方法、計測期間などをビジネスの目標に合わせて調整してください。

自動入札が正しく動作する設定ポイント

GA4からコンバージョンをインポートしただけでは、自動入札の精度は最大化されません。インポートしたデータを基に自動入札が賢く学習し、動作するための重要な設定ポイントを3つ紹介します。

ポイント1:アクションの最適化設定を確認する

インポートしたコンバージョンが、自動入札の最適化対象として正しく認識されているかを確認する必要があります。広告費用対効果(ROAS)やコンバージョン単価(CPA)の目標達成に直接関わる重要な設定です。

  • コンバージョンアクションの一覧画面で、インポートしたイベントの「アクションの最適化」列を確認します。
  • 主要なコンバージョン(例:「購入」「問い合わせ完了」)は「メイン アクション」に設定します。これにより、そのコンバージョンが自動入札の最適化対象となります。
  • マイクロコンバージョン(例:「カート追加」「資料ダウンロード」)など、最適化の対象にはしないがデータとして計測したい場合は、「サブ アクション」に設定します。

ポイント2:適切なアトリビューションモデルを選択する

アトリビューションモデルとは、コンバージョンに至るまでの各広告クリックの貢献度をどのように評価するかを決めるルールです。Google広告では「データドリブン アトリビューション(DDA)」が推奨されています。

データドリブン アトリビューションは、アカウントのデータを用いて、コンバージョン経路における各接点の貢献度を機械学習で判断します。ラストクリックだけでなく、コンバージョンに至るまでの全てのタッチポイントを評価するため、より正確な広告評価と予算配分が可能になります

コンバージョンアクションの編集画面から「アトリビューション モデル」の項目を確認し、「データドリブン」に変更することをおすすめします。

ポイント3:コンバージョンデータを十分に蓄積する

自動入札は、蓄積されたコンバージョンデータを基に学習を進めます。そのため、連携設定後すぐに自動入札を開始しても、データが不足しているため十分なパフォーマンスを発揮できない場合があります。

目安として、過去30日間に30件〜50件以上のコンバージョンが安定して発生するようになってから、目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果といった自動入札戦略への切り替えを検討しましょう。データが少ないうちは、手動入札や拡張クリック単価でデータを蓄積することに専念するのが賢明です。

Google広告アカウントで連携を確認する方法

すべての設定が完了したら、GA4とGoogle広告が正しく連携されているかを最終確認しましょう。確認すべきポイントは複数あります。以下の表を参考に、各項目をチェックしてください。

 

確認項目確認場所(Google広告管理画面)正常な状態
アカウントのリンク状態「管理」→「リンク アカウント」→「Googleアナリティクス(GA4)とFirebase」対象プロパティのステータスが「リンク済み」になっている。
コンバージョンのインポート状態「目標」→「コンバージョン」→「コンバージョン アクション」インポートしたGA4イベントが一覧に表示され、「発生元」が「Googleアナリティクス4」となっている。
オーディエンスソースの状態「ツールと設定」→「共有ライブラリ」→「オーディエンス マネージャー」→「あなたのデータソース」「Googleアナリティクス(GA4)」のソースが表示され、セグメントが収集されていることを示す緑色のインジケーターが表示されている。

これらの項目がすべて正常な状態であれば、Google広告側の連携設定は問題なく完了しています。これで、GA4の豊富なデータを活用した、より高度な広告運用を開始する準備が整いました。

GA4×Google広告のコンバージョン設定|CVがズレる原因と対処法

GA4とGoogle広告を連携させると、GA4で計測したコンバージョンデータをGoogle広告の最適化に活用できます。しかし、多くの運用担当者が「GA4のコンバージョン数とGoogle広告の管理画面上の数値が合わない」という課題に直面します。この数値のズレは、両ツールの仕様の違いに起因するもので、必ずしもエラーではありません。この章では、コンバージョン数がズレる主な原因と、その対処法について詳しく解説します。

GA4のCV数とGoogle広告のCV数が違う理由

GA4とGoogle広告でコンバージョン数が一致しないのは、主に「アトリビューションモデル」と「計測タイミング」という2つの大きな違いがあるためです。それぞれのプラットフォームが異なる基準で成果を計測していることを理解しましょう。

両者の主な違いを以下の表にまとめました。

 

項目GA4Google広告
計測の基準イベントが発生した日付コンバージョンに至った広告がクリックされた日付
アトリビューションモデル(デフォルト)データドリブン(クロスチャネル対応)データドリブン(Google広告チャネル内)
計測対象すべてのチャネル(自然検索、SNS、広告など)Google広告経由のトラフィックが中心
コンバージョン期間(デフォルト)初回訪問:30日
その他すべてのコンバージョンイベント:90日
クリックスルー:30日
エンゲージビュースルー:3日

例えば、あるユーザーが12月1日にGoogle広告をクリックし、サイトを訪問した後、12月5日に自然検索で再訪問して商品を購入したとします。この場合、Google広告では広告がクリックされた「12月1日」のコンバージョンとして計上されますが、GA4ではイベントが発生した「12月5日」のコンバージョンとして計上されます。このように計測日が異なるため、特定の期間でデータを比較すると数値に差異が生じるのです。

また、GA4はすべての流入チャネルを横断して成果への貢献度を評価するのに対し、Google広告は自身の広告クリックを起点として評価します。この視点の違いも、数値のズレを生む大きな要因です。

重複コンバージョンを防ぐための設定

GA4のコンバージョンをGoogle広告にインポートすると、意図せずコンバージョンを二重に計測してしまうことがあります。これは、従来から設置していたGoogle広告のコンバージョントラッキングタグと、GA4からインポートしたコンバージョンイベントの両方が有効になっている場合に発生します。

重複計測を防ぐためには、どちらか一方のコンバージョンアクションを「メイン」とし、もう一方を「セカンダリ」に設定する必要があります。GA4のデータを正として広告運用を最適化する場合、以下の手順でGoogle広告側の設定を変更しましょう。

  1. Google広告の管理画面にアクセスし、右上の「ツールと設定」から「コンバージョン」をクリックします。
  2. コンバージョンアクションの一覧から、従来のGoogle広告タグで計測しているアクションを選択します。
  3. 「設定を編集」をクリックし、「アクションの最適化」という項目を見つけます。
  4. 設定を「メイン」から「セカンダリ」に変更し、保存します。

「セカンダリ」に設定したコンバージョンアクションは、自動入札の最適化対象から外れ、「コンバージョン」列にも計上されなくなります。ただし、データとしては残り、「すべてのコンバージョン」列で数値を確認することは可能です。これにより、GA4からインポートしたコンバージョンのみを基準に、正確な広告最適化を進められます。

推奨イベント名を使用する重要性

GA4でコンバージョンを設定する際、イベント名にはGoogleが定めた「推奨イベント」を使用することが強く推奨されます。推奨イベントとは、`purchase`(購入)、`generate_lead`(見込み顧客の獲得)、`sign_up`(登録)など、様々なビジネスシーンで共通して利用される特定のイベント名のことです。

なぜ推奨イベントが重要なのでしょうか。その理由は、Googleの機械学習システムがイベントの意味を正しく理解し、広告配信の最適化精度を高めるためです。例えば、イベント名を`purchase`に設定することで、Googleのシステムはこれを「購入」という重要なアクションだと認識し、購入見込みの高いユーザーへの広告配信を強化したり、自動入札の精度を高めたりします。

独自に作成したカスタムイベント名(例:`cv_complete`)でもコンバージョン計測は可能ですが、Googleのシステムはそのイベントが具体的に何を意味するのかを理解できません。そのため、推奨イベントを使用した場合と比較して、機械学習の恩恵を十分に受けられない可能性があります。将来的にGA4で新しいレポート機能や分析機能が追加された際にも、推奨イベントを基準に実装されることが多いため、特別な理由がない限りは推奨イベント名を選択しましょう。

CVが計測されない時のチェックリスト

「設定は完了したはずなのに、コンバージョンが計測されない」という場合は、どこかの設定に不備がある可能性が高いです。以下のチェックリストを上から順に確認し、問題の切り分けを行いましょう。

  • GA4とGoogle広告の連携は有効か

    GA4の管理画面「管理」>「サービス間のリンク」>「Google広告とのリンク」で、対象のアカウントが「リンク済み」になっているか確認します。また、リンク設定時に「パーソナライズド広告の有効化」と「自動タグ設定の有効化」がオンになっているかも重要です。

  • GA4でコンバージョンイベントとしてマークされているか

    GA4の管理画面「管理」>「データの表示」>「イベント」で、コンバージョンとして計測したいイベントの「コンバージョンとしてマーク」のトグルがオンになっているか確認します。この設定がオフだと、イベントは発生してもコンバージョンとしてはカウントされません。

  • Google広告にコンバージョンがインポートされているか

    Google広告の「ツールと設定」>「コンバージョン」で、GA4からインポートしたコンバージョンアクションが表示されているか確認します。ステータスが「コンバージョンを記録中」になっているか、また「アクションの最適化」が「メイン」になっているかもチェックしましょう。

  • タグは正しく発火しているか

    Googleタグマネージャーのプレビューモードや、ブラウザのデベロッパーツール、GA4の「DebugView」を使用して、サイト上で対象のアクション(ボタンクリックなど)を行った際に、設定したイベントタグが正しく発火しているかを確認します。タグが発火していなければ、トリガーの設定などを見直す必要があります。

  • データの反映を待っているか

    GA4からGoogle広告へのデータ連携には、最大で48時間程度のタイムラグが発生することがあります。設定直後はデータが反映されていなくても、少し時間を置いてから再度確認してみてください。

  • フィルタ設定で除外されていないか

    GA4の「データ設定」>「データフィルタ」で、社内IPアドレスなどを除外する設定をしている場合、テスト環境からのコンバージョンが計測されないことがあります。テスト時にはフィルタを無効にするか、シークレットモードなどで確認しましょう。

GA4×Google広告のオーディエンス活用|成果を最大化する応用設定

GA4とGoogle広告の連携における最大の強みの一つが、Webサイト上のユーザー行動に基づいた、きめ細やかなオーディエンスリストを作成し、広告配信に活用できる点です。これにより、画一的なターゲティングから脱却し、ユーザーの興味関心や検討段階に合わせたアプローチが実現します。ここでは、広告成果を飛躍させるための具体的なオーディエンス活用術を解説します。

GA4オーディエンスの作り方(例:離脱ユーザー、CV見込み)

GA4では、ユーザーの行動や属性を組み合わせて、柔軟にオーディエンスを定義できます。まずは基本的な作成方法と、特に活用価値の高いオーディエンスの例を見ていきましょう。

オーディエンスは、GA4の管理画面左メニュー「管理」から、プロパティ列にある「オーディエンス」を選択し、「新しいオーディエンス」ボタンから作成します。

カスタムオーディエンスの作成例

特定の条件を満たすユーザーグループを独自に作成できます。代表的な例が「カート放棄ユーザー」です。

  • オーディエンス名:カート放棄ユーザー
  • 設定条件:
    1. イベント「add_to_cart」(カート追加)を実行したユーザーを含める
    2. イベント「purchase」(購入)を実行したユーザーを除外する

この設定により、「商品をカートに入れたものの、購入には至らなかったユーザー」という非常に確度の高い見込み顧客リストが完成します。このリストに限定して「今なら10%OFF」といったクーポン広告を配信すれば、購入の後押しが期待できます。

予測オーディエンスの活用

GA4の大きな特徴として、Googleの機械学習モデルを活用した「予測オーディエンス」機能があります。この機能を利用するには、過去のデータ量など一定の条件を満たす必要がありますが、非常に強力なターゲティングが可能です。

  • 今後7日間で購入する可能性が高いユーザー:購入見込みの高いユーザーに絞って広告を配信し、コンバージョン獲得の効率を高めます。
  • 今後7日間で離脱する可能性が高いユーザー:離脱の兆候があるユーザーに対し、特別なオファーやサポート情報などを提示して、サイトへの再訪を促します。
  • 予測収益上位25%のユーザー:LTV(顧客生涯価値)が高くなる可能性のあるユーザー層です。アップセルやクロスセルの広告配信に適しています。

これらの予測オーディエンスは、手動では見つけ出すことが難しい潜在的な優良顧客や離脱予備軍を特定し、先回りしたアプローチを可能にします。

Google広告でのセグメント活用方法

GA4で作成したオーディエンスは、Google広告に自動で共有され、「オーディエンスセグメント」として利用できます。Google広告のキャンペーンや広告グループの設定画面で、GA4から連携されたオーディエンスリストを選択し、配信に活用します。

活用方法には、主に「ターゲティング」と「モニタリング」の2種類があります。

 

設定概要主な用途
ターゲティング指定したオーディエンスセグメントに属するユーザーに限定して広告を配信します。リマーケティングキャンペーン、特定の顧客層へのアプローチ(例:カート放棄ユーザーへの広告配信)
モニタリング広告の配信対象は絞り込まず、指定したオーディエンスセグメントの掲載結果を観測します。検索キャンペーンなどで、特定のオーディエンスの成果が良い場合に、そのセグメントの入札単価を強化するなどの調整に利用します。

例えば、リマーケティングキャンペーンでは「ターゲティング」を使い、特定の行動を取ったユーザーを追いかけて広告を表示します。一方、通常の検索キャンペーンでは、「優良顧客」リストを「モニタリング」に設定し、この層からの検索があった際に自動入札が強めに働くように設定する、といった戦略的な活用ができます。

ダイナミックリマーケティングとの関係

ダイナミックリマーケティングとは、ユーザーがサイトで閲覧した特定の商品やサービス情報を基に、パーソナライズされた広告を自動生成して配信する手法です。GA4とGoogle広告の連携は、このダイナミックリマーケティングの精度を大きく向上させます。

ECサイトを例にすると、ユーザーが閲覧した商品の画像、価格、名前などを広告クリエイティブに含めて表示できます。これを実現するためには、GA4でECサイト向けの推奨イベントを正しく設定することが重要です。

ダイナミックリマーケティングで重要なGA4イベント

  • view_item_list:商品一覧ページを閲覧
  • view_item:商品詳細ページを閲覧
  • add_to_cart:商品をカートに追加
  • purchase:商品を購入

これらのイベントを計測し、イベントパラメータ(特に商品IDや価格、通貨などを含む`items`配列)を正確に送信することで、Google広告は「どのユーザーがどの商品に興味を持っているか」を詳細に把握できます。その結果、ユーザー一人ひとりの関心に完全に合致した、極めて効果の高い広告配信が実現するのです。この設定には、Google Merchant Centerとの商品フィード連携も合わせて行う必要があります。

“成果が伸びやすい”オーディエンス設定例

ここでは、より実践的で広告成果に繋がりやすいオーディエンスの作成例をいくつかご紹介します。自社のビジネスモデルに合わせてカスタマイズし、ぜひ試してみてください。

 

オーディエンス名定義(GA4での設定条件例)主な活用方法
高エンゲージメント・非コンバージョンユーザーセッションのエンゲージメントが「はい」 AND イベント「コンバージョン」の数が「0」サイトに強い関心はあるが、あと一歩で購入や問い合わせに至らない層。導入事例やお客様の声、限定オファーなどで背中を押す広告が有効です。
優良顧客(LTV高)イベント「purchase」のパラメータ「value」の合計が一定額以上ロイヤルティの高い顧客層。新商品や上位プランの案内、限定セールへの招待など、特別なアプローチでアップセルやクロスセルを狙います。類似セグメントの元リストとしても最適です。
特定カテゴリ関心層イベント「view_item_list」のパラメータ「item_list_name」が「特定カテゴリ名」のユーザー特定の商品カテゴリに興味を持つユーザー。そのカテゴリの新商品や関連商品の広告を配信することで、高いクリック率やコンバージョン率が期待できます。
ブログ記事読了ユーザーイベント「scroll」のパラメータ「percent_scrolled」が「90」以上 AND ページパスに「/blog/」を含むコンテンツを通じて課題意識が高まっている可能性が高いユーザー層。記事内容に関連するホワイトペーパーのダウンロードやセミナー案内などの広告で、リード獲得に繋げます。
初回購入から30日経過ユーザー初回購入日が30日以上前 AND 購入回数が1回のユーザーリピート購入を促すためのオーディエンス。消耗品であれば補充のタイミングを、他の商品であれば関連商品を提案する広告を配信します。

これらのオーディエンスを作成し、広告キャンペーンのターゲティングやモニタリングに設定するだけでなく、「除外設定」に活用することも重要です。例えば、新規顧客獲得を目的としたキャンペーンからは「すべての購入ユーザー」を除外することで、広告費を無駄なく新規ユーザーに集中させ、費用対効果を最大化できます

まとめ|GA4とGoogle広告の連携で広告成果は大きく変わる!

本記事では、GA4とGoogle広告を連携させる具体的な手順から、そのメリット、そして成果を最大化するための応用設定までを網羅的に解説しました。GA4とGoogle広告の連携は、もはやGoogle広告で成果を出すための必須設定と言っても過言ではありません。

GA4で計測した精度の高いコンバージョンデータをGoogle広告にインポートすることで、自動入札の精度が向上し、より費用対効果の高い広告配信が実現します。さらに、ユーザーのサイト内行動に基づいた詳細なオーディエンスリストを作成し、リマーケティング広告に活用すれば、見込みの高いユーザーへ効果的にアプローチできます。

連携設定自体は複雑ではありませんが、コンバージョンの二重計上を防ぐ設定や、目的に合わせたオーディエンスの作成など、正しく活用するためにはいくつかのポイントがあります。もし設定に迷ったり、コンバージョンが計測されないなどの問題が発生した場合は、本記事の各項目を再度見直してみてください。

GA4のデータを最大限に活用することで、これまで見えなかったユーザーの動きを捉え、広告運用の精度を飛躍的に高めることが可能です。この記事を参考に、さっそくGA4とGoogle広告の連携設定を進め、あなたのビジネスの成長を加速させましょう。

GA4の分析依頼・代行のご相談はこちら

この記事を書いた人

FC編集部

FC編集部

FORCLE編集部です。WEB広告やHP・LP制作、GoogleAnalyitcs分析など、さまざまな役立つ最新のWEBマーケティング情報を随時発信しています。