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Meta広告 複数広告主の広告を活用して広告効果を最大化する方法

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Instagram広告

Meta広告

  • 2025年10月21日
  • 2025年10月18日

Meta広告を運用する中で「複数広告主の広告」という表示を目にし、その仕組みや自社広告への影響について疑問に思う方も多いでしょう。

意図せず他社の広告と並んで表示されるのでは、と不安になるケースも少なくありません。

本記事では、この機能の基本概念から具体的な設定方法、注意点までを網羅的に解説します。

複数広告主の広告を正しく理解し、適切に設定することが広告効果を最大化する鍵です。

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Meta広告の複数広告主の広告とは?基本概念と特徴

Meta広告における「複数広告主の広告」とは、FacebookやInstagramのフィードなどで、ユーザーが関連性の高い複数のビジネス(広告主)の広告をまとめて閲覧できる広告フォーマットです。ユーザーがある広告に興味を示し、エンゲージメント(「いいね!」やクリックなど)を行うと、その広告の下に類似の商品やサービスを扱う他の広告主の広告がカルーセル形式で表示される仕組みになっています。

これは、オンラインショッピングサイトでよく見られる「この商品を見た人におすすめの商品」といったレコメンド機能に似た仕組みを広告配信に応用したものです。ユーザーにとっては、一度の操作で興味のある分野の情報を効率的に収集できるメリットがあり、広告主にとっては、購買意欲の高いユーザーに自社の商品やサービスを発見してもらう新たな機会となります。

複数広告主の広告の主な特徴

この広告フォーマットには、従来の広告とは異なるいくつかの特徴があります。主な特徴を以下の表にまとめました。

 

特徴詳細な説明
表示形式ユーザーが特定の広告にエンゲージメントした際に、その下に水平にスワイプできるカルーセル形式で他の広告主の広告が表示されます。
表示ロジックMetaの機械学習アルゴリズムが、ユーザーの興味関心や行動履歴を基に、関連性が高いと判断した広告を自動的に選んで表示します。
広告主の意図広告主が直接「この広告と一緒に表示したい」と指定することはできません。あくまでもMetaのシステムがユーザーにとって有益だと判断した組み合わせで表示されます。
デフォルト設定多くのキャンペーンタイプで、この機能はデフォルトでオンになっています。広告主が意図せずとも、自社の広告が複数広告主の広告の一部として配信される可能性があります。

広告主とユーザー双方のメリット

複数広告主の広告は、広告主とユーザーの双方にメリットをもたらすことを目指して設計されています。それぞれの立場から見た主なメリットを解説します。

広告主にとってのメリット

  • 新たな顧客へのリーチ拡大: 競合他社の広告に興味を示した購買意欲の高いユーザーに対して、自社の広告を表示できるため、これまでリーチできなかった新しい顧客層にアプローチできる可能性があります。
  • 広告効果の向上: 関連性の高い広告がまとめて表示されることで、ユーザーの比較検討を促し、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)の向上が期待できます。
  • 配信機会の増加: 既存の広告枠に加えて新たな表示機会が生まれるため、広告のインプレッション数が増加し、ブランドの認知度向上にもつながります。

ユーザーにとってのメリット

  • 効率的な情報収集: 興味のある商品やサービスに関連する選択肢を一度に比較検討できるため、情報収集の手間が省け、よりスムーズな購買体験が実現します。
  • 新たな発見の機会: 自分が知らなかったブランドや製品に出会うきっかけとなり、より良い選択肢を見つける手助けになります。
  • パーソナライズされた体験: 自身の興味関心に基づいた広告が表示されるため、無関係な広告に煩わされることなく、自分に合った情報を受け取ることができます。

Meta広告の複数広告主の広告が導入された背景

Meta広告における「複数広告主の広告」は、単なる新機能というだけではなく、近年のデジタル広告市場やユーザー行動の変化に対応するために導入された戦略的な仕組みです。

この機能がなぜ生まれたのか、その背景を理解することは、効果的な広告運用に繋がります。主な背景として、以下の3つの側面が挙げられます。

ユーザーの購買行動の変化への対応

現代の消費者は、オンラインで商品やサービスを購入する際、一つの情報源だけを頼りにするのではなく、複数の選択肢を比較検討することが一般的になっています。例えば、ECサイトで特定の商品を閲覧した後に表示される「この商品を見た人はこんな商品も見ています」といったレコメんでーション機能は、ユーザーの比較検討ニーズを満たし、新たな発見を促す上で重要な役割を果たしています。

複数広告主の広告は、この購買行動を広告フォーマットに応用したものです。ユーザーが特定の広告に興味を示した(エンゲージメントした)際に、関連性の高い他社の広告を提示することで、ユーザーはアプリやサイトを離れることなく、より多くの選択肢の中から自分に合ったものを見つけやすくなります。これは、ユーザーにとってより満足度の高い購買体験を生み出すことを目指した結果と言えるでしょう。

広告主間の競争激化と機会の創出

Metaのプラットフォームは世界中の多くの企業が利用しており、広告主の数は年々増加しています。その結果、限られた広告枠をめぐる競争は激化し、特に中小企業や新規参入の広告主にとっては、ターゲットオーディエンスに広告を届けること自体の難易度が上がっていました。

このような状況下で、複数広告主の広告は、広告配信の機会を広げるという側面を持っています。一つの広告枠に複数の広告主が表示されることで、これまでインプレッションを獲得しにくかった広告主にも新たなチャンスが生まれます。特に、大手ブランドの広告に関心を示したユーザーに対して自社広告を表示できれば、認知度の向上や新規顧客の獲得に繋がる可能性が高まります。これは、多様なビジネスが成長できる広告環境を維持するための仕組みでもあるのです。

プラットフォームとしての価値最大化

Meta(プラットフォーム運営者)の視点では、広告枠の価値を最大化し、収益性を高めるという目的があります。複数広告主の広告を導入することで、1回の広告表示(インプレッション)から、より多くの広告収益を得る機会が生まれます。

さらに重要なのは、プラットフォーム全体の価値向上です。ユーザーにとっては利便性が高まり、広告主にとっては新たなビジネスチャンスが広がる。このように、ユーザーと広告主の双方にメリットをもたらすことで、Metaプラットフォーム自体の魅力と利用価値を高め、広告エコシステム全体を活性化させるという戦略的な狙いが背景にあります。

これらの背景を、それぞれの立場からまとめると以下のようになります。

 

立場導入によるメリットと目的
ユーザー興味のある分野で、より多くの商品やサービスの選択肢を効率的に比較検討できる。新たな発見に繋がり、購買体験が向上する。
広告主競争が激しい中でも広告の表示機会が増加する。競合に関心のある購買意欲の高いユーザー層へアプローチでき、新規顧客獲得のチャンスが広がる。
Meta(プラットフォーム)1つの広告枠の収益性を高める。ユーザーと広告主双方の満足度を上げることで、プラットフォーム全体の価値と魅力を向上させる。

Meta広告複数広告主の広告の仕組みを理解しよう

複数広告主の広告は、一見すると複雑に感じられるかもしれませんが、その根底にあるのはユーザーの興味関心とMetaの高度なアルゴリズムです。

ここでは、どのようなプロセスを経て広告が表示されるのか、その仕組みを段階的に解説します。

ユーザーの行動が起点となる広告表示

複数広告主の広告が表示される最初のきっかけは、ユーザーが特定の広告に対して起こすアクションです。具体的には、FacebookやInstagramのフィード、ストーリーズなどで広告を見たユーザーが、「いいね!」、コメント、シェア、保存、あるいは広告をクリックするといったエンゲージメントを行うことが起点となります。

Metaのシステムは、このユーザーの能動的なアクションを「特定の製品やサービスへの興味のサイン」として捉えます。例えば、あるユーザーがA社のランニングシューズの広告に「いいね!」をした場合、システムはそのユーザーが「ランニングシューズ」というカテゴリに高い関心を持っていると判断します。このユーザーの行動データが、次に関連広告を表示するための重要なシグナルとなるのです。

Metaのアルゴリズムによる広告選定プロセス

ユーザーのエンゲージメントを検知した後、Metaのアルゴリズムが関連性の高い他の広告主の広告を選び出します。この選定は、主に次の2つのステップで進行します。

1. 関連性の高い広告主の特定

まず、ユーザーがアクションを起こした広告(起点となった広告)と類似する製品やサービスを扱っている他の広告主が、表示候補としてリストアップされます。この「関連性」は、以下のような複数の要素から総合的に判断されます。

  • 商品・サービスのカテゴリ: 同じカテゴリ(例:スポーツウェア、化粧品、オンライン講座)に属しているか。
  • 広告のターゲット設定: 年齢、性別、地域、興味関心などのターゲティング設定が類似しているか。
  • 広告クリエイティブの類似性: 広告で使われている画像やテキストのテーマが似ているか。

このようにして、ユーザーが興味を示した広告と近いと判断された複数の広告が、次のオークションの段階へと進みます。

2. 広告オークションの実施

候補となった広告の中から、実際にどの広告をどの順番で表示するかは、通常のMeta広告と同様に広告オークションによって決定されます。オークションでは、以下の3つの主要な要素が評価されます。

  • 入札単価: 広告主が設定した広告表示に対する入札価格。
  • 推定アクション率: 広告が表示された際に、ユーザーが「いいね!」やクリックなどのアクションを起こす可能性の予測値。
  • 広告品質: 広告クリエイティブの質や、広告に対するユーザーからのフィードバック(非表示にされた回数など)を基にした評価。

これらの要素を総合的に評価した「合計価値」が最も高い広告が、ユーザーにとって最も有益であると判断され、表示される権利を得ます。つまり、単に商品が似ているだけではなく、広告そのもののパフォーマンスや品質も表示されるかどうかに大きく影響するのです。

具体的な広告表示フォーマットと配置

複数広告主の広告は、ユーザーが広告を目にするさまざまな配置で、主にカルーセル形式を用いて表示されます。これにより、ユーザーはスワイプ操作で複数の関連商品をスムーズに閲覧できます。主な表示形式と配置は以下の通りです。

 

表示形式主な配置特徴
カルーセル形式Facebookフィード、Instagramフィード、Instagramストーリーズなどユーザーがエンゲージメントした広告に続き、複数の広告主による関連性の高い広告がカード形式で横並びに表示される。左右にスワイプして比較検討しやすい。
シングルイメージ/動画形式Facebookフィード、Instagramフィードなどユーザーが起点となる広告を閲覧した直後や、フィードをスクロールしている際に、関連性の高い単一の広告が個別に表示される場合もある。

例えば、ユーザーがA社のスニーカー広告をクリックした後、フィードに戻ると「こちらもおすすめです」といった見出しと共に、B社、C社、D社のスニーカー広告がカルーセル形式で表示される、といった具体例が挙げられます。各カードには広告主名が明記されており、ユーザーはどの企業の広告かを認識した上で閲覧できます。

広告主側から見た仕組みのポイント

この仕組みは、広告主にとって2つの側面を持ちます。自社の広告が「起点」となる場合と、「関連広告」として表示される場合です。それぞれの立場で仕組みを理解することが、効果的な広告運用につながります。

 

広告主の立場仕組みにおける役割メリットと注意点
起点となる広告の広告主ユーザーの興味を引き出し、複数広告主の広告表示のきっかけを作る。メリット:自社広告へのエンゲージメントが、業界全体の活性化につながる可能性がある。
注意点:エンゲージメント直後に競合他社の広告が表示されるため、顧客を奪われるリスクも存在する。
関連広告として表示される広告主競合他社の広告に興味を示した、購買意欲の高いユーザーにアプローチする。メリット:自社のターゲティングだけではリーチできなかった可能性のある、関心の高い潜在顧客に広告を届けられる。
注意点:表示されるかどうかはオークションの結果次第であり、常に表示機会を得られるわけではない。

このように、複数広告主の広告は、ユーザーの自発的なアクションを起点に、Metaのアルゴリズムとオークションを経て、関心の高いユーザーへ関連広告を届けるという仕組みで成り立っています。この流れを把握することで、自社の広告がどのような状況で表示され、どのような機会を得られるのかをより深く理解できるでしょう。

Meta広告複数広告主広告の設定方法と確認手順

Meta広告の「複数広告主の広告」は、広告の効果を高める上で重要な機能ですが、その設定方法や確認手順を正しく理解しているでしょうか。ここでは、広告マネージャを使った具体的な設定手順と、配信状況を確認する方法を分かりやすく解説します。

広告マネージャでの設定手順

「複数広告主の広告」に関する設定は、広告キャンペーンの「広告セット」階層で行います。以下の手順に沿って進めることで、簡単に設定の確認や変更が可能です。

ステップ1:広告セットの編集画面を開く

まず、Meta広告マネージャにアクセスし、設定を変更したいキャンペーンを選択します。次に、そのキャンペーンに属する広告セットの一覧から、対象となる広告セットの「編集」をクリックして設定画面を開きます。

ステップ2:「配置」セクションに移動する

広告セットの編集画面を下にスクロールし、「配置」という項目を見つけます。配置には、Metaが自動的に最適な配置を判断する「Advantage+ 配置」と、手動で選択する「手動配置」があります。「複数広告主の広告」は、この配置設定に関連する項目です。

ステップ3:「複数広告主の広告」の設定を確認・変更する

「配置」セクションの中、あるいはその詳細設定内に「複数広告主の広告」に関するオン・オフの切り替えオプションがあります。多くの場合、この設定はデフォルトでオン(有効)になっています。

もし、意図的にこの機能を利用したくない場合は、チェックボックスを外すか、スイッチをオフに切り替えることで無効化できます。設定の選択肢とそれぞれの内容は以下の通りです。

 

設定内容
オン(推奨)自分の広告が、関連性の高い他の広告主の広告と一緒に表示されることを許可します。これにより、購買意欲の高い利用者にリーチできる機会が増え、広告パフォーマンスの向上が期待できます。
オフ自分の広告が「複数広告主の広告」枠に表示されないようにします。ただし、配信機会が減少し、結果として広告の表示回数やコンバージョン数が少なくなる可能性があります。

設定を変更した後は、必ず画面右下の「公開」ボタンをクリックして、変更内容を保存してください。

設定状況と配信結果の確認方法

設定を終えた後、実際に広告がどのように表示されるのか、また、どの程度「複数広告主の広告」枠に配信されたのかを確認する方法も押さえておきましょう。

広告プレビューでの表示確認

広告セットのさらに下層にある「広告」階層の編集画面では、「広告プレビュー」機能を利用できます。このプレビュー機能で、選択した配置(例:Facebookフィード、Instagramストーリーズなど)での広告の表示イメージを確認できます。

プレビュー上で「複数広告主の広告」としての表示例が示されることもありますが、必ずしも他社広告と並んだ状態が再現されるわけではありません。あくまで、広告クリエイティブが各配置でどのように見えるかを確認する機能と捉えておくと良いでしょう。

配置レポートでの配信結果の確認

実際に「複数広告主の広告」枠にどれだけ広告が配信されたかを確認するには、広告マネージャのレポート機能が有効です。

以下の手順で確認できます。

  1. 広告マネージャのレポート画面で、分析したいキャンペーンや広告セットを選択します。
  2. レポート表の上部にある「内訳」プルダウンメニューをクリックします。
  3. 「配信」カテゴリの中から「配置」を選択します。

この操作により、広告が配信された具体的な場所(配置)ごとのパフォーマンスデータ(インプレッション数、クリック数、費用など)が表示されます。レポート内に「Facebookフィードの複数広告主広告」や「Instagramフィードの複数広告主広告」といった項目があれば、それが「複数広告主の広告」枠での配信実績です。このデータを見ることで、この機能が自社の広告パフォーマンスにどの程度影響を与えているかを具体的に把握できます。

Meta広告複数広告主の広告で起こりやすい問題と対策

複数広告主の広告は、新たなユーザー層へのリーチ拡大が期待できる一方で、運用方法を誤ると意図しない結果を招くことがあります。

特に、自社のブランドイメージや広告パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるため、発生しうる問題を事前に把握し、適切な対策を講じることが重要です。

ここでは、複数広告主の広告で発生しやすい代表的な問題と、それらに対する具体的な対策を解説します。

まずは、起こりやすい問題と対策の概要を以下の表で確認しましょう。

 

複数広告主の広告で起こりやすい問題と対策の概要
問題点具体的なリスク主な対策
競合他社や関連性の低い広告と並んで表示されるブランドイメージの毀損、クリック率の低下、メッセージの希薄化広告主の除外設定(ブロックリスト)の活用
広告パフォーマンスが意図せず変動するクリック単価(CPC)の高騰、コンバージョン率(CVR)の低下配置ごとのパフォーマンス分析と最適化
ブランドイメージに合わない広告と隣接する不適切なコンテンツとの関連付けによる信頼性の低下トピックの除外設定の利用
どの広告主と表示されたか把握しづらい問題発生時の原因特定が困難、広告環境の不透明性広告ライブラリの定期的な確認

問題1:競合他社や関連性の低い広告と並んで表示される

広告運用者が最も懸念するのが、自社の広告が競合他社の広告や、ブランドイメージと合わない広告と同時に表示されてしまうケースです。これにより、ユーザーに混乱を与えたり、ブランド価値を損なったりする可能性があります。

発生するリスク

競合他社や関連性の低い広告と並んで表示されると、次のようなリスクが考えられます。

  • ブランドイメージの毀損:価格競争を仕掛けてくる競合や、品質の低い商品・サービスの広告と並ぶことで、自社のブランドイメージが低下する恐れがあります。
  • 広告効果の低下:ユーザーがどちらの広告をクリックすべきか迷い、結果としてクリック率(CTR)が低下したり、コンバージョンに至らず離脱したりする原因となります。
  • メッセージの希薄化:自社が伝えたい独自のメッセージが、隣接する他の広告によって薄れてしまう可能性があります。

対策:広告主の除外設定(ブロックリスト)を活用する

Meta広告の「ブランドセーフティ管理」機能を使えば、特定の広告主をブロックリストに追加し、自社の広告と同時に表示されないように設定できます。この設定は、広告アカウント単位で適用され、意図しない広告主との隣接を未然に防ぐ上で非常に有効な手段です。

広告マネージャから「ブランドセーフティ」の項目に進み、「ブロックリスト」を作成・編集します。リストには、除外したい広告主のFacebookページ名やドメインを直接入力して追加します。この設定を定期的に見直し、市場の動向に合わせて更新することで、ブランドの安全性を維持しやすくなります。

問題2:広告パフォーマンスが意図せず変動する

複数広告主の広告が表示されることで、オークション環境が変化し、クリック単価(CPC)やコンバージョン率(CVR)といった主要な指標が予期せず変動することがあります。

発生するリスク

パフォーマンスの変動は、広告予算の消化ペースや獲得効率に直接影響します。

  • クリック単価(CPC)の上昇:同じ広告枠に複数の広告が表示されることで競争が激化し、クリック単価が上昇する可能性があります。
  • コンバージョン率(CVR)の低下:関連性の低い広告と並んで表示された場合、ユーザーの興味が分散し、自社サイトへの流入後のコンバージョン率が低下することがあります。

対策:配置(プレースメント)ごとのパフォーマンスを分析・最適化する

複数広告主の広告は特定の配置(例:Facebookフィード、Instagramストーリーズなど)で表示されるため、配置ごとのパフォーマンスを詳細に分析することが重要です。

広告マネージャのレポート機能にある「内訳」から「配置」を選択し、各配置での成果を細かく確認しましょう。もし、複数広告主の広告が表示される特定の配置でパフォーマンスが著しく悪化している場合は、その配置への配信を停止するか、クリエイティブやターゲット設定を見直すといった最適化が必要です。

問題3:ブランドイメージに合わない広告と隣接する

競合他社ではなくても、自社のブランドイメージや価値観と相容れないカテゴリの広告と並んで表示されることも、避けたい事態の一つです。

発生するリスク

例えば、健康的なイメージを訴求する食品ブランドの広告が、ギャンブルや過度に扇情的なコンテンツの広告の隣に表示された場合、ユーザーに悪い印象を与えかねません。これは、自社のブランド価値やメッセージ性が損なわれ、信頼性の低下につながるリスクをはらんでいます。

対策:トピックの除外設定を利用する

ブランドセーフティ管理機能には、特定の「トピック」を除外する設定も用意されています。これにより、自社のブランドイメージと合わない広告カテゴリをあらかじめ指定し、そのカテゴリに属する広告主との同時表示を回避できます。

除外できるトピックには、「デリケートな社会的トピック」「ギャンブル」「アルコール」などが含まれます。自社のブランドポリシーに合わせてこれらのトピックを除外設定することで、より安全な広告配信環境を維持できます。

問題4:どの広告主と表示されたか把握しづらい

実際に自社の広告がどの広告主と並んで表示されたのか、そのすべてを正確に把握することは困難です。この透明性の低さが、問題発生時の原因究明を難しくする場合があります。

発生するリスク

パフォーマンスが悪化した際に、その原因が複数広告主の広告によるものなのか、あるいは他の要因(クリエイティブの劣化、ターゲティングのずれなど)によるものなのかを切り分けるのが難しくなります。結果として、迅速かつ的確な改善策を打ち出せない可能性があります。

対策:広告ライブラリを定期的に確認する

直接的な解決策ではありませんが、Metaの「広告ライブラリ」を定期的に確認し、競合他社や関連業界がどのような広告を配信しているかを把握しておくことは有効です。

広告ライブラリで市場の動向を観察することで、ブロックリストに追加すべき広告主を見つけたり、自社のクリエイティブ戦略を見直したりするきっかけになります。どのような広告環境に自社広告が表示されているかを推測し、より戦略的な除外設定や運用改善につなげることができます。

効果を最大化するための運用ポイント

Meta広告の複数広告主の広告は、広告主が直接コントロールできる範囲が限られているため、その効果を最大限に引き出すには間接的なアプローチが重要になります。

Metaのアルゴリズムに自社の広告がユーザーにとって有益であると判断させ、表示機会を増やすための具体的な運用ポイントを5つ解説します。

1. ユーザーの目を引くクリエイティブ戦略

複数広告主の広告枠では、他社の広告と並べて表示される可能性があります。そのため、数ある広告の中からユーザーの視線を引きつけ、クリックを促すクリエイティブの質が、通常以上にパフォーマンスを左右します。視覚的な魅力と分かりやすさを両立させたクリエイティブを制作しましょう。

静止画・動画広告のポイント

ユーザーがフィードをスクロールする手を止めるような、インパクトのあるビジュアルが求められます。以下の点を意識してクリエイティブを改善しましょう。

  • 最初の1〜2秒で惹きつける:動画広告の場合、冒頭に最も伝えたいメッセージや魅力的な映像を配置する。
  • テキスト要素を効果的に使う:画像や動画内に伝えたいメッセージを簡潔なテキストで入れることで、音声オフ環境でも内容が伝わります。
  • ブランド要素を明確にする:ロゴやブランドカラーを分かりやすく配置し、どの企業の広告かを瞬時に認識できるようにします。
  • 鮮やかな色彩とクリアな画質:他の広告に埋もれないよう、コントラストの効いた色彩や高画質な画像・動画を使用します。

魅力的な広告コピーの作成

クリエイティブだけでなく、広告の見出しやメインテキストも重要な要素です。ユーザーが「自分ごと」として捉えられるような、具体的でベネフィットが伝わるコピーを心がけましょう。

  • 具体的な数値を入れる:「割引」よりも「20%OFF」、「多くの人が利用」よりも「導入実績1,000社以上」のように、具体的な数字で訴求力を高めます。
  • 限定性や緊急性を演出する:「期間限定」「今だけの特典」といった言葉で、ユーザーの行動を後押しします。
  • ターゲットに呼びかける:「〇〇でお悩みの方へ」のように、ターゲットを明確にすることで、広告への関心を高めます。

2. ターゲティング精度を高めアルゴリズムを味方につける

複数広告主の広告は、Metaのアルゴリズムがユーザーの興味関心や行動履歴に基づいて「関連性が高い」と判断した広告を表示する仕組みです。つまり、自社広告のターゲティング精度を高めることが、適切なユーザーに広告を届けるための鍵となります。

カスタムオーディエンスと類似オーディエンスの活用

既存顧客やサイト訪問者のデータに基づいたカスタムオーディエンスや、そのデータから類似した特徴を持つユーザー層を見つけ出す類似オーディエンスは、非常に精度の高いターゲティング手法です。これらのオーディエンスを活用することで、コンバージョン見込みの高いユーザー層へ効率的にアプローチでき、アルゴリズムからの評価も高まりやすくなります。

詳細ターゲット設定の見直し

興味関心や利用者層に基づく詳細ターゲット設定も定期的に見直しましょう。ターゲットを広げすぎると関連性の低いユーザーにも配信されてしまい、逆に絞り込みすぎると配信ボリュームが確保できません。広告マネージャのオーディエンス定義を参考に、適切な規模のターゲット設定を目指しましょう。

3. Advantage+ 配置の活用とデータ分析

Metaは、機械学習を最大限に活用してパフォーマンスの最適化を図る「Advantage+ 配置(旧:自動配置)」を推奨しています。複数広告主の広告は、このAdvantage+ 配置を利用している場合に表示される可能性が高まります。配置を限定せず、Metaのシステムに配信を委ねることで、最も効果の高い場所に広告が表示されやすくなります。

配置ごとのパフォーマンス分析

Advantage+ 配置を利用しつつも、配信結果を分析することは重要です。広告マネージャの「内訳」機能から「配置」を選択することで、FacebookフィードやInstagramストーリーズなど、どの配置でどのような成果が出ているかを確認できます。複数広告主の広告枠からの流入が全体のパフォーマンスにどう影響しているかを把握し、クリエイティブやターゲティングの改善に役立てましょう。

4. 競合を意識した明確なメッセージング

他社の広告と並んで表示されることを前提に、自社の強みや独自性を明確に打ち出すメッセージングが求められます。ユーザーが複数の選択肢を比較検討する中で、なぜ自社の製品やサービスを選ぶべきなのかを瞬時に伝えなくてはなりません。

以下の表のように、差別化の軸を整理し、広告コピーやクリエイティブに反映させましょう。

 

差別化の軸具体的なメッセージ例
価格優位性「業界最安値に挑戦!」「今だけ20%OFFクーポン配布中」
品質・実績「顧客満足度98%の実績」「熟練の職人が作る高品質な一品」
独自性・新規性「日本初上陸の〇〇」「特許技術で実現した新機能」
限定性・特典「公式サイト限定特典付き」「ご購入者様全員に無料サンプルプレゼント」

5. ランディングページの最適化(LPO)

広告をクリックした後のユーザー体験も、広告全体の効果を大きく左右します。せっかく魅力的な広告でユーザーを誘導できても、遷移先のランディングページ(LP)が分かりにくかったり、表示速度が遅かったりすると、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。これはコンバージョン機会の損失だけでなく、広告の品質評価の低下にもつながります。

広告クリエイティブとの一貫性

広告で提示したメッセージやデザインと、ランディングページの内容に一貫性を持たせることが極めて重要です。広告で「50%OFF」と謳っているのに、LPでその情報がすぐに見つからなければ、ユーザーは不信感を抱きます。キャッチコピー、ビジュアル、訴求内容を統一し、スムーズなユーザー体験を作りましょう。

コンバージョンへの導線設計

ユーザーが次に何をすべきかが直感的に分かるように、CTA(Call To Action)ボタンは目立つ色やデザインにし、分かりやすい場所に配置しましょう。入力フォームは項目を最小限に絞るなど、ユーザーの手間を減らす工夫もコンバージョン率の向上につながります。

【Q&A】複数広告主の広告に関するよくある質問

Meta広告の「複数広告主の広告」は、比較的新しい機能であるため、多くの広告運用者が疑問を抱えています。ここでは、特に多く寄せられる質問に対して、分かりやすく回答します。このセクションを通じて、機能への理解を深め、より効果的な広告運用を目指しましょう。

複数広告主の広告はすべてのキャンペーンで表示される?

いいえ、すべてのキャンペーンで必ず表示されるわけではありません。複数広告主の広告として表示されるかどうかは、キャンペーンの目的や設定、そしてMetaの広告配信アルゴリズムの判断によって決まります。

基本的には、広告の配置設定で「Advantage+ プレイスメント(旧:自動配置)」を選択している場合に、表示される可能性が高まります。Metaのシステムが、ユーザーの行動履歴や興味関心に基づき、「このユーザーには複数の商品をまとめて見せた方がコンバージョンにつながりやすい」と判断した際に、このフォーマットが選択されます。

一方で、手動でプレイスメントを細かく指定している場合や、特定のキャンペーン目的では表示されにくい傾向があります。以下の表は、キャンペーン目的と表示されやすさの一般的な目安です。

 

キャンペーンの目的複数広告主の広告としての表示可能性解説
売上(コンバージョン)高いユーザーが商品購入を検討している可能性が高く、関連商品を同時に見せることで購入を後押ししやすいため、表示されやすい傾向にあります。
トラフィック中程度ウェブサイトへの誘導が目的ですが、関連性の高い複数のサイトを提示することで、ユーザーの回遊を促す効果が期待される場合に表示されることがあります。
エンゲージメント低い投稿への「いいね!」やコメントを促す目的とは少し性質が異なるため、複数広告主の広告フォーマットは選択されにくいです。
アプリのプロモーション中程度関連性の高い複数のアプリを提示することで、ユーザーのインストール意欲を高める効果が期待できる場合に表示される可能性があります。

最終的にはMetaのアルゴリズムに委ねられるため、広告主側で「複数広告主の広告として配信する」と直接指定することはできません。Advantage+ プレイスメントを活用し、配信の最適化をMetaに任せることが、この機能の恩恵を受けるための基本的なスタンスとなります。

表示を完全にオフにすると配信効果は下がる?

はい、配信効果が低下する可能性が非常に高いです。Metaは、複数広告主の広告フォーマットをオフにすることを推奨していません。オフに設定すると、広告を配信できる機会が減少し、結果として広告パフォーマンス全体に悪影響を及ぼすことが考えられます。

具体的には、以下のようなデメリットが想定されます。

  • CPA(顧客獲得単価)の高騰: 広告を表示できる場所(プレイスメント)が限定されるため、広告オークションでの競争が激しくなり、クリック単価やコンバージョン単価が上昇する可能性があります。
  • リーチの減少: ユーザーが商品を探している最適なタイミングでの表示機会を失うため、広告が届けられるユーザーの数が減少することがあります。
  • コンバージョン数の低下: 購買意欲の高いユーザーに対して、関連性の高い商品をまとめてアピールできる機会を逃すことで、獲得できるコンバージョン数が減ってしまうリスクがあります。

Metaの広告配信システムは、膨大なデータを基に、最も成果が高まる可能性のあるユーザー、タイミング、プレイスメントを自動で選択します。複数広告主の広告もその最適化の一環です。ブランドイメージの観点から特別な懸念がない限りは、この設定はオンのままにしておくことが、広告効果を最大化する上で賢明な判断’mark>といえるでしょう。

他社広告と同時に表示されないようにする方法はある?

結論から言うと、特定の競合他社の広告と隣り合って表示されないように、直接的に設定する方法はありません。複数広告主の広告は、あくまでもユーザーの興味関心に基づいてMetaのアルゴリズムが動的に広告を組み合わせるため、広告主側で隣接する広告を指定したり、拒否したりすることは不可能です。

しかし、間接的にリスクを低減させるための対策は存在します。それは、Metaが提供する「ブランドセーフティ管理ツール」の活用です。

ブランドセーフティ管理ツールでの対策

広告マネージャの「ブランドセーフティ」設定内で、ブロックリストを作成することができます。この機能を使えば、自社の広告を表示させたくない特定のドメイン、アプリ、Facebookページなどを指定できます。

  1. ドメインのブロック: 競合他社のウェブサイトのドメインを登録することで、そのドメインに関連するコンテンツの近くに自社広告が表示されるのを防ぎます。
  2. カテゴリの除外: 自社のブランドイメージと合わない特定のコンテンツカテゴリ(例: ギャンブル、政治など)を除外設定することで、不適切な文脈で広告が表示されるリスクを減らせます。

ただし、これらの設定は複数広告主の広告「専用」の機能ではなく、Meta広告全体の配信先をコントロールするものです。競合他社をブロックリストに追加しても、完全に隣接表示を防げる保証はなく、また、過度な設定は配信機会を狭め、広告効果を下げる可能性があるため、慎重な運用が求められます。

Meta広告の透明性レポートで確認できる?

いいえ、Metaの広告ライブラリ(旧:広告の透明性レポート)で、自分の広告が「複数広告主の広告」としてどのように表示されたかを確認することはできません

広告ライブラリの主な目的は、その名の通り「透明性」の確保です。特定の広告主(Facebookページ)が、現在どのような広告クリエイティブを、どのプラットフォーム(Facebook, Instagramなど)で配信しているかを確認するためのツールです。これにより、ユーザーや研究者、競合他社は、世の中にどのような広告が出回っているかを把握できます。

しかし、このツールは個々の広告主の活動を一覧するものであり、以下のような情報は提供されません。

  • 自分の広告が、いつ、どのユーザーに対して、どの広告と組み合わされて表示されたか。
  • 「複数広告主の広告」フォーマットでの具体的な表示回数やクリック数。

複数広告主の広告は、ユーザーごとにパーソナライズされ、リアルタイムで組み合わせが生成される非常に動的な仕組みです。そのため、そのすべての表示パターンを記録し、レポートとして提供することは現実的ではありません。パフォーマンスの確認は、あくまで広告マネージャのレポート画面で行い、プレイスメントごとの成果を見ながら全体的な傾向を把握することになります。

まとめ:Meta広告複数広告主の広告を正しく理解し、戦略的に活用しよう

本記事では、Meta広告の「複数広告主の広告」について、その仕組みから設定方法、運用ポイントまでを網羅的に解説しました。

この機能は、ユーザーに関連性の高い広告をまとめて表示することで、広告主にとっても新たな配信機会を生み出すものです。

しかし、意図しない他社広告と並列で表示される可能性も否定できません。

この機能を正しく理解し、自社のブランドイメージや広告戦略に合わせて適切に設定を管理することが、広告効果を最大化させる鍵となります。

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FC編集部

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